隣人に土地を売るメリットとは?適したケースや注意点も
こんにちは。栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」の土屋です。
「土地を相続したら、隣人から売ってほしいと言われた」
「土地売却を検討中だが、まず隣人に売却を提案してみるのはどうだろうか」
そんなお悩みをお持ちではありませんか。
土地売却において、隣人は売り先の選択肢の一つであり、土地の条件によっては、一般の買い手を探すよりもメリットが大きいケースがあるのです。
そこで今回は、隣人に土地を売るメリットや適したケースを解説します。
売却の際の注意点もあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
隣人に土地を売る方法や向いているケースを紹介!
隣人に土地を売るメリットをお伝えする前に、まずは隣人に土地を売る方法と、適しているケースを確認しておきましょう。
隣人に土地を売る方法
隣人に土地を売る方法には、主に次の2つが挙げられます。
- 「古家付き土地」として売却する
- 建物を解体して、更地にしてから売却する
古家付き土地とは、建物を土地のおまけ(資産価値ゼロ)として売る方法です。
解体工事の手間がかからず、引き渡しまでに時間がかからないメリットがあります。
ただし、隣人が建物を求めていない場合は更地にして売却しましょう。
自身で更地にするのが難しく隣人に解体をしてもらう場合は、売買価格から解体費用を差し引くのが一般的です。
隣人に土地を売るのがおすすめのケース
土地の条件が一般的に需要が低く、買い手が付きにくい場合は、隣人への売却を検討することをおすすめします。
具体的には、以下のようなケースが挙げられます。
- 土地が接道義務を満たさない「再建築不可物件」である場合
- 隣人の土地が接道義務を満たさない「再建築不可物件」である場合
- 土地が私道に面している場合
- 立地的に購入希望者を見つけるのが難しい場合
土地を宅地として利用するには、敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならない「接道義務」が定められています(建築基準法第42条、43条)。
接道義務を満たさない場合は、再建築不可とみなされ、新築や建て替えなどができず、宅地として使い勝手が悪いため、買い手が付きにくいのです。
接道義務は1950年に定められたため、それ以前に建てられた建物は再建築不可物件に該当する可能性があります。
逆に、売却したい土地は接道義務を満たしており、隣人の土地が接道義務を満たしていない場合も、隣人への売却がおすすめです。
隣人は土地を購入することで接道義務を満たすことができ、将来的に建て替えが可能になったり、売却がしやすくなったりするためです。
ただし、接道義務は果たしていても私道に面している場合は、購入を回避される傾向も。
所有者以外の第三者が自由に使えない道路であるため、「購入後、通行や工事に関してトラブルになるのでは」などの不安があるためです。
隣地所有者の場合、私道の権利など近隣の状況をある程度把握しているため、一般の買い手よりも売却がスムーズに進む期待が持てます。
所在エリアが田舎で、そもそもの買い手探しが難しい場合も、隣人ならば「所有地が広がる」という利点があるので、購入のハードルが低いといえるでしょう。
私道に面した土地や、接道義務については下記のコラムで解説していますので、ぜひあわせて参考にしてください。
隣人に土地を売るメリット
隣人に土地を売るメリットには、どんなものがあるのでしょうか。
隣人側・売り主側のメリットをそれぞれ、ご紹介していきましょう。
隣人側のメリット
隣人に土地を売る際、隣人側には次のようなメリットがあります。
①土地の用途が広がる
まず、隣地を買うことで、利用できる範囲・用途の選択肢が広がります。
土地の広さにもよりますが、より自由度の高い使い方ができるでしょう。
<用途の例>
- 畑や田を広げる
- 駐車スペースを設ける
- 庭を広げる
- 自宅を増築する
- 新たに家を建てて親族を住まわせる
- アパートやマンションを建てる
そのほか、もともと隣地にあった建物を解体し、家の位置をずらすことで日当たりや風通しを良くするといった居住性の改善もできますね。
②資産価値が上がる
隣地を購入し、所有地と合わせることで、資産価値を高められる場合もあります。
先ほどもご説明しましたが、所有地が道路に接していない場合、隣地が公道に面していれば接道義務の心配がなくなります。
また、土地の形が悪い場合は隣地と合わせて、正方形・長方形といった使い勝手の良い形になれば、将来売却する際、宅地として大きく価値が向上するでしょう。
③自分が買うことで居住環境の悪化を心配しなくて良い
隣地を自分で購入すれば、第三者が入居・利用することはありません。
「変な人が引越して来たらどうしよう」
「コンビニや駐車場ができて、夜中に騒がれたり、治安が悪くなったりしないだろうか」
上記のような環境悪化の心配がないのです。
続いて、売り主側のメリットも見ていきましょう。
売り主側のメリット
隣人に土地を売る際、売り主側には次のようなメリットがあります。
①売却に関わる手続きが進めやすい
売り先が隣人のため、まずは現地確認(内覧)がしやすかったり、売却交渉などのスケジュールが立てやすかったりと、売却に関わる手続きが進めやすい利点が挙げられます。
②早期売却が期待できる
不動産会社に行くなどして買い手を探す必要がないため、早期売却が期待できるでしょう。
売却したい土地が相続した土地の場合は、売却活動に手がかからなければ、遺産分割などに集中できます。
また、相続した土地の場合、遺族の中で売却を反対する人が出てくることも。
隣人は関係性が近いため「知らない人には売りたくないけど、昔から知っている隣人なら売っても良い」と売却しやすいケースもあります。
③相場より高く売れるケースがある
隣人が「どうしても売ってほしい」と求めて売買契約を結ぶ場合は、価格交渉を有利に進められるので、相場よりも高額で売れるケースもあるでしょう。
隣人に土地を売る際の注意点
隣人に土地を売る際は、次の点にご注意ください。
- しつこく売却をせまらない
- 売却不成立になった場合のことも考えて丁寧に対応する
- 売却価格は個人間で具体的な話をしない
- 交渉はすべて不動産会社に仲介を依頼する
隣人への対応は、あくまで「売り先の選択肢の一つ」として、丁寧に行うことが大切です。
「買ってほしい」などとしつこく売却をせまると「そんなに買ってほしいのか」と足元を見られ、値下げを要求される可能性も。
また、土地の購入をせまったことで隣人との関係が悪化してしまうと、隣人と売買契約が成立しなかった場合に「第三者へ売り出すために境界確定を行おうとしても、隣地所有者から協力を得られなかった」など、売却に悪影響が出る恐れがあります。
建物を建てる際には正確な土地面積が必要なため、境界を確定させた状態で売り出すのが一般的ですし、境界未確定の場合は、通常の土地よりも安くなる傾向があります。
基本として、個人間では「興味があればどうですか」と話をする程度にし、土地の売却に関わる手続き・交渉は、不動産会社に仲介を依頼するのがおすすめです。
特に売却価格については、不動産会社に査定を依頼して相場を把握したのち、交渉してもらうのが無難といえます。
直接話をすると、相場が高くても値上げしにくくなるからです。
不動産会社に取り持ってもらえば、直接のやり取りよりも冷静に対応できますし、プロの視点で売買取引のアドバイスもしてもらえます。
不動産会社という第三者が入ることで売り主・買い主両者にとって公平な取引が行え、トラブルになるリスクも小さくできるでしょう。
何より、不動産売買は専門性が高い分野なので、知識を持たない個人間でやり取りをするのはおすすめしません。
隣人に土地を売る場合は個人間ではなく、不動産会社に仲介を任せよう
一般的に需要が低く、買い手が付きにくい土地を売りたい場合は、売却先の選択肢として隣人に土地を売ることを検討してみることをおすすめします。
接道義務を果たしておらず再建築できない、私道に面しているといった場合は、隣人であれば近隣の状況を把握しやすく、一般的な買い手よりも購入のハードルが低い傾向にあるからです。
庭を広げたり、親族の家を建てたりといったことも可能になり、隣人にとってもメリットがあるケースは多いですよ。
ただし、売買契約が不成立に終わる可能性もあるため、交渉時にはしつこくせず、丁寧に対応することが大切です。
個人間での取引は避け、金額交渉を始めとした手続きはすべて、不動産会社に仲介を依頼しましょう。
第三者を介在すれば冷静にやり取りしやすいですし、直接取引するよりもトラブルになりにくく、プロ視点のアドバイスも受けられますよ。
栃木県で不動産の売却を検討している方は、栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」に、ぜひご相談ください。
那須塩原店 土屋 清