名義人以外の不動産売却を解説!売却方法や共有名義の場合の対処法も
こんにちは!栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」の土屋です。
「名義人の違う不動産を売りたいけれど、売却は可能だろうか?」
家族が名義人の土地や家、共有名義のマンションなどを売却したいという場合、そんなお悩みをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、名義人以外の不動産の売却方法を解説します。
共有名義の場合の対処法もあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
不動産の名義人が違うのはどのようなとき?
不動産の名義人は、不動産の所有者のこと。
つまり、「不動産の名義人が違うとき」とは、不動産の所有者と不動産の売却をする人が別であるケースを指します。
具体的にどのような場合に、名義人が異なるのでしょうか。
主に、次のようなケースがあります。
- 家族が名義人であるケース
- 共有名義の不動産であるケース
1つ目は、土地や建物の所有者が家族で、何らかの理由があり売却手続きができない名義人に代わって売却を進めるパターンです。
例えば、高齢や入院中で外出が困難であったり、認知症などの理由から判断能力が不十分であったりする場合ですね。
2つ目の共有名義とは、1つの不動産の所有権を複数人で登記することをいいます。
複数の相続人が不動産を相続した場合や、複数人が資金を出して物件を購入した際などに共有名義にするケースがあります。
共有名義の場合、登記情報には、それぞれがどのくらいの割合で所有するかを示す持分割合が登記情報として記載されます。
各名義人は持分割合を自由にできますが、不動産全体の名義人ではありません。
自分だけの所有物ではないため、不動産の名義人が違うケースといえます。
名義人が異なる不動産を売却する方法
原則として、名義人が異なる(他人名義の)不動産を売却することはできません。
なぜなら、不動産の売買は高額かつ専門性の高い取引であり、名義人の「売りたい」という意思がないと売買契約が結べないからです。
実際に、売買契約書など書類への記名・押印は基本として名義人が行いますし、所有権を名義人から買主に移す登記である所有権移転登記などの手続きには名義人の本人確認が必要となっています。
名義人以外の人が勝手に売ってしまう、といった不当な取引を防ぐための措置ですね。
親や子ども、親族といった名義人と近しい関係であっても「勝手に売れない」という条件は同じです。
ではどうすれば売却できるのかというと、次の2つの方法があります。
- 代理人として売却する
- 名義人を自分に変更してから売却する
それぞれ解説していきます。
代理人として売却する
名義人が異なる場合でも、代理人になれば売却は可能です。
一般的には、名義人の血縁者や親しい友人など、信頼のおける人が代理人になります。
ただし、代理人として売却するには、「代理で売却してほしい」という言葉だけでなく、「名義人に売却の意思があり、代理として売却を任された」という証明が必要です。
また、どこまで代理して良いのか権限の範囲を明確にしないと、代理人が名義人の意図しない条件で契約してしまうなど、のちのちトラブルを生みかねない危険性があります。
取引相手である買主に不安を抱かせないためにも、名義人の意思と、代理人の権限の範囲などを記した「委任状」が必要です。
委任状に記載する内容とは?
委任状の書式に決まりはありませんが、主な記載事項は、次のとおりです。
- 委任状の作成日
- 代理人の住所氏名
- 委任する内容(代理権限の範囲)
委任の内容は具体的に、漏れなく記載することが重要です。
上記を記載した上で、名義人が署名と実印での押印をしてください。
添付書類として、実印の印鑑証明書名義人の本人確認書類が必要です。
名義人が売却の意思決定ができない場合は?
名義人が認知症などで売却の意思を示すことができない場合は、名義人の成年後見人(法定代理人)を定めることで、売却を進められます。
成年後見人とは、名義人の財産管理や生活サポートを役割とする人です。
ただし、選定の基準は家庭裁判所が「最も適切だ」と判断した人であるため、配偶者や親族などが選ばれるとは限りません。
弁護士や司法書士など専門家が選任される場合もあります。
将来的な売却に備えたい場合は、「任意後見人制度」を利用し、名義人自らが選んだ人を後見人とすることも可能です。
名義人を自分に変更してから売却する
不動産の名義を自分に変更すれば、自由に売却が可能です。
名義は、贈与や譲渡(売却)、相続にて「所有権移転登記(※相続の場合は相続登記)」を行うことで変更できます。
登記に必要な書類を揃え、不動産の所在地を管轄する法務局(登記所)に申請するという流れです。
手続きは自分でもできますが、手間をかけたくないという方は、司法書士に依頼すると良いでしょう。
報酬は5万円程度が目安です。
ちなみに贈与とは、お金のやり取りがない取引をいいます。
個人から不動産を贈与された場合は「贈与税」を、譲渡では利益が出た場合に「譲渡所得税」を、相続では「相続税」の負担が発生します。
また、贈与・譲渡での不動産の取得には「不動産取得税」も課されることにご注意ください。
贈与税の課税の仕組みは、「不動産を生前贈与するメリットや相続との違いは?方法も詳しく解説」にて詳しく解説しています。
相続の方法や相続税など課税される税金については、「亡くなった親の家を売る流れや注意点を解説!かかる税金も知ろう」にて解説していますので、ぜひあわせて参考にしてください。
共有名義の不動産はどのように売却する?
共有名義の不動産を売却するには、次の3つの方法があります。
- 共有名義人全員の同意を得て、各持分を同時に売却する
- 名義を一本化してから売却する
- 自分の持分のみ売却する
複数人が一つの不動産を共同で所有しているとき、各名義人が持っている所有権の割合を共有持分といいます。
各名義人には共有持分の売却しかできません。
不動産の全部を売りたい場合は、共有名義人全員の同意を得てからすべてを売却するか、名義を一本化する必要があります。
全員の同意を得る場合は、1人でも反対があると売却は不可能です。
合意を得るためには、売買価格のうち誰がいくら受け取るのかといった内訳など、慎重に話し合いを進めないといけません。
また、全員の実印と印鑑証明、登記済権利証(登記識別情報)の準備と、書類に自署する必要があります。
なお、名義人が遠方に居住している場合などは、ほかの共有名義人に代理を委任し、売却を進めることは可能です。
名義を一本化する場合は共有名義人で話し合う「共有物分割協議」を行い、持分をほかの名義人に買い取ってもらいます。
住宅ローンを共有名義にしていて離婚をする場合は、「離婚する場合、共有名義の住宅ローンどうすれば良い?問題点や売却方法」もぜひご覧ください。
最後に、自分の持分を売却することは自由に行えますが、売却は難しいケースが多いでしょう。
ほかに共有名義人がいるため、リフォームや修繕、建て替えなどに合意を得る必要があるなど、権利関係が複雑だからです。
手間が予想される分、買い手の需要が低く、値下げしないと売れないという状況も想定できます。
持分のみ売却する方法は、全員の合意が取れなかったり、名義がまとめられなかったりする場合に選択する方法といえます。
名義人以外が不動産を売却するには代理権か名義の変更が必要
不当な取引を防ぐため、原則として他人名義の不動産売却はできません。
ただし、名義人が売却の意思を持ち、「委任状」を用意して代理人として売却を任された場合は、名義人以外でも売却することは可能です。
認知症などで名義人が売却の意思決定をできないときは「後見人制度」で成年後見人を選任することで、売却を進められます。
また、不動産の贈与や売却、相続後に所有権移転登記を行なって自分が名義人になることでも売却が可能となります。
共有名義の不動産は、持分のみを売却する方法もありますが、共有名義人全員の同意を得るか、名義を一本化してから売却するのがおすすめです。
栃木県で不動産の売却を検討している方は、栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」に、ぜひご相談ください。
那須塩原店 土屋 清