老人ホーム入居時に自宅売却すべき?理由やデメリットを解説!
こんにちは!栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」の小川です。
不動産をお持ちの方には、老人ホームへの入居を機に、家やマンションなど自宅を売るべきだろうかと迷っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「体力に不安があるから子どもに売却手続きを任せたい」と考える方もいるかもしれませんね。
今回は、老人ホーム入居時に自宅売却がおすすめな理由を解説します。
売却の流れや、入居時に売却するデメリットもあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
老人ホーム入居が決まったら自宅売却がおすすめな理由
老人ホームに入ることが決まった際、住んでいる家やマンションを将来的に使う予定がない場合は、売却するのがおすすめです。
なぜおすすめなのかというと、次のような理由があります。
- 自宅を現金化すれば金銭的負担が軽減できる
- 空き家にして放置するのはリスクが高い
- 税負担を軽減する特例を利用するには期間の制限がある
- 所有者の判断能力が低下した場合、売却しづらくなる
1つずつ解説していきます。
自宅を現金化すれば金銭的負担が軽減できる
自宅を売って現金化することで、老人ホームの入居一時金や施設の利用料金、介護サービスの支払いに充てられます。
また、使わない自宅を売却すれば、空き家として所有することもなくなります。
不動産は所有しているだけで、固定資産税など税金や管理・維持費がかかるので、売却益を資金として使えるだけでなく、金銭的負担も軽減できます。
空き家を放置するのはリスクが高い
自宅を空き家にする場合、特に一戸建ての住宅は定期的に適切な管理の手を入れないと、人が住んでいる家よりも劣化する可能性が高いです。
管理できずに放置してしまうと、建物の部材が傷んで倒壊したり、庭が荒れて放火や不法投棄など犯罪に巻き込まれたりするリスクがあります。
周辺環境にも危険であるとか、衛生・防犯上悪影響を与えかねないと行政から判断された空き家は、「特定空き家」に指定される恐れも。
特定空き家に指定されても改善が見られないと、固定資産税を軽減する「住宅用地に対する課税標準の特例」が適用外になり、従来の最大6倍を負担しなければならなくなる可能性があります。
税負担を軽減する特例を利用するには期間の制限がある
売却代金から、不動産の購入費など「取得費」や売却にかかったお金「譲渡費用」を差し引いた金額は、譲渡所得と呼ばれます。
譲渡所得がプラスになれば、確定申告で譲渡所得税を申告・納税する必要がありますが、特例(特別控除)を利用することで税負担を抑えることが可能です。
譲渡所得税については「不動産の売却は相続前と相続後でどう違う?悩んでいる方へ徹底解説!」にて解説していますので、ぜひあわせて参考にしてください。
特例の適用を受けるには、一定の条件を満たした上で、必要書類を揃えて確定申告をする必要があります。
適用条件には期間の制限を含めたものもあり、次に挙げる特例には「居住中の家屋を売るか、住まなくなった日から3年を経過する日の属する12月31日までに売却する」という条件があります。
- マイホームを売ったときの特例
- マイホームを売ったときの軽減税率の特例
- 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
それぞれ簡単にご説明しますね。
マイホームを売ったときの特例
居住用財産(マイホーム)を売った際、所有期間の長さに関わらず、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できます。
マイホームを売ったときの軽減税率の特例
自宅の所有期間が10年を超える(長期譲渡所得)場合、税額の算出に軽減税率を適用できる特例です。
通常税率が15%のところ、課税所得金額の6,000万円以下の部分は10%の税率になり、負担する税金が安くなります。
特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
自宅を10年以上の住宅ローンで購入していて、売却価格がローン残債を下回っている場合は、譲渡所得の損失を給与所得などほかの所得から控除できます。
控除しきれないときは、売却年の翌年以後、3年間繰り越して控除できる特例です。
所有者の判断能力が低下した場合、売却しづらくなる
家や土地など不動産を売却できるのは、所有者だけです。
家族や親族であっても、所有者の許可なく売却はできません。
老人ホーム入居後も所有者が健在であり、売却など法律行為の判断ができる場合は問題ありませんが、認知症などを発症し、自分では判断が難しくなるケースもあるかもしれません。
不要な自宅を入居のタイミングで売却しておくことで、将来の心配を軽減できます。
老人ホーム入居のタイミングで自宅売却をする流れを解説!
老人ホーム入居のタイミングで自宅売却をする場合、一般的には不動産会社に買い手を探してもらう「仲介」を依頼します。
売却の流れは次の通りです。
- 不動産会社に物件の価値を測ってもらう(査定依頼を出す)
- 不動産会社選んで、媒介(仲介)契約を結ぶ
- 広告作成や内覧の接客など、販売活動をしてもらう
- 購入希望者と交渉し、買い主が決まれば売買契約を締結する
- 買い主が売買代金を決済し、売却物件の引渡しを行う
不動産会社の担う役割はとても重要です。
査定依頼は一括査定サイトなどを利用して複数社に依頼し、査定結果や対応を比較して、信頼できる不動産会社と媒介契約を結びましょう。
所有者が子どもなど第三者に売却を任せたい場合は?
不動産の売却は、所有者の「売却したい。手続きはこの人に代理を任せる」という明確な意思があれば、所有者でない第三者でも行えます(任意代理)。
まずは委任状を用意
委任状には決まった様式がありませんが、あまりに簡素なものにすると買い手の信用を得にくいデメリットがあります。
次の事項を記載した上、所有者の実印を押し、実印の証明となる「印鑑登録証明書」を添付しましょう。
- 所有者本人の住所氏名(自署)
- 代理人の住所氏名
- 売却する物件の詳細、売却条件
- 代理人に任せる権限の範囲(委任事項)
- 委任した日付
また、住民票など代理人の本人確認書類の提示も必要です。
委任状のひな形は、不動産会社に相談すればもらえます。
決済・物件の引き渡し前には意思確認が必要
売買代金の決済と物件の引渡し前には、司法書士や不動産会社の担当者が所有者本人と面談し、売却の意思を確認します。
委任状を提出した上で、代理人の権限が正当なものかを買い主に示す必要があるからです。
所有者の意思確認が取れない場合は?
では、家の所有者が認知症などで自分の意思決定をできない状態にあるときはどうすれば良いのでしょうか。
売却の意思確認を取れない場合は、「成年後見制度」を利用する方法があります。
成年後見制度とは
成年後見制度とは、自分で法律行為などが判断できない、あるいは将来的に不安だと感じる人の意思決定を支援するために、監護・代理・財産管理などを行う人(成年後見人など)を選ぶ制度です。
ご本人が自分で法律行為等を決められなくなった場合の「法定後見制度」と、決められなくなる前に後見人を決めておく「任意後見制度」があります。
意思決定ができない場合は「法定後見制度」を利用する
必要書類などを揃えて家庭裁判所に申し立てると、裁判所が最も適任だと判断する人を成年後見人に選任します。
このとき選ばれるのは、親族に限らず、弁護士や司法書士など専門家の場合もあるのでご注意ください。
成年後見人が家庭裁判所から事前許可を得られれば、不動産の売却が可能です。
親族が後見したい場合は「任意後見制度」がおすすめ
任意後見制度では、あらかじめご本人が親族と任意後見契約を締結(登記)します。
任意後見契約があれば、家庭裁判所に選任された任意後見監督人の監督のもと、親族が任意後見人になれることを知っておきましょう。
老人ホーム入居のタイミングで自宅売却をするデメリット
自宅を売ってしまうと、当然ながら売却後は住むことができなくなります。
入居のタイミングで「今は誰も住まないから」と急いで売却を決めてしまうと、何らかの理由で老人ホームを退去したときや、子や孫がその家に住みたいと思ったときに住むことができません。
住む家がなくて将来的に困る可能性があるのは大きなデメリットです。
また、このタイミングで売却すべきと家族が判断した場合に、所有者本人の説得に苦労する可能性があるのもデメリットの一つ。
所有者本人は「入居後にゆっくり売却を検討したい」「思い出の詰まった家をすぐには手放しがたい」と考えている場合もあるので、売却すべき合理的な理由を挙げても、なかなか説得が難しいケースがあるでしょう。
老人ホームへの入居は、生活ががらりと変化するタイミングです。
入居のことを考えるのが精いっぱいで、将来的に誰かが住む予定の有無や売却すべき理由について、合理的に考えるのは難しいケースもあると予想されます。
老人ホームに入居する所有者の気持ちに配慮しよう
入居のタイミングでは売却を考えられない場合でも、入居後落ち着いたときに、なるべく早く売却すべき理由を交えて相談すると、気持ちが変わる可能性もあります。
節税対策の期限もあるため、空き家を管理できる人手や費用はあるのか、将来的に住む予定はあるのかといった話し合いを提案してみましょう。
使う予定がないなら老人ホーム入居時に自宅売却がおすすめ
将来的に使う予定がない場合、自宅は老人ホームに入居するときに売却するのがおすすめです。
現金化すれば施設の入居費用などに使えますし、空き家を手放せば税金や管理・維持費がかかりません。
空き家にして放置するのは、倒壊の危険性、衛生・防犯上周囲に悪影響を及ぼすリスクもあります。
節税の特例には、期間の制限を設けているものもあるので、入居のタイミングで売却しておくと安心です。
委任状を用意し、所有者本人の売却意思を表示できれば、第三者に売却を任せることができます。
所有者の意思確認が取れない場合は、成年後見制度を利用する方法があることも知っておきましょう。
老人ホーム入居のタイミングで、本人が自宅の売却に前向きでない場合は無理をしてはいけません。
落ち着いたタイミングで、本人の意思を尊重しながら話し合いを提案してみましょう。
栃木県で不動産の売却を検討している方は、栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」に、ぜひご相談ください。