建物の滅失登記とは?手続きの方法や滅失登記しないデメリットも紹介
こんにちは!栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」の小川です。
滅失登記とは、不動産登記の1つ。
一般的には建物が完全になくなった際に、その情報を登記簿に記録することを指します。
所有する建物の解体を検討されている方の中には、滅失登記の手続き方法や、必要な書類について気になる方も多いはず。
そこで今回のコラムでは、建物の滅失登記について徹底解説。
手続きの流れや必要書類、費用の他、滅失登記しないと発生するデメリットも紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
滅失登記とは?自分でも手続きは可能?
滅失登記とは、所有する建物の全部が解体や火災などで滅失した場合に、登記簿に「建物はもうなくなった」と記録する登記のこと。
新しく建物を建てた場合、その所有者は、新築した建物を登記簿に表題登記(新しく登記)します。
不動産の情報や権利に変更があれば、その移り変わりが登記簿に記録(変更登記)され、完全になくなってしまえば「滅失登記」をするということです。
そのため、滅失登記は、取り壊しや焼失があった建物が、建物の一部や付属建物である場合は行わず、全部が滅失した場合に必要となる点にご注意ください。
建物の滅失登記が完了すれば、建物の登記簿は閉鎖されます。
滅失登記は所有者自身で行うことが可能?
登記手続きと聞くと「難しそう…」というイメージを持たれる方もいるかもしれません。
滅失登記にももちろん、必要書類を揃える手間はありますが、それほど煩雑な手続きを要しないので、所有者自身で行うことも可能です。
しかし、中には忙しくて手続きの時間が取れないという方もいるでしょう。
法務局に訪れ、あれこれ慣れない作業をするのは不安だ、と感じる場合もあります。
そのため、滅失登記は土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。
建物がなくなったらなるべく早く滅失登記をしよう
法律では、滅失登記は、建物が滅失した日から1カ月以内に申請しなければいけないと定められています。
申請を怠ると、10万円以下の過料に処される可能性があるので注意が必要です。
また、法的な義務としてだけでなく、滅失登記しないことで、主に次のようなデメリットが発生します。
- 固定資産税の納付書が送付される可能性がある
- 解体して更地になっていても土地の売却ができない
- 新たに建築許可が下りず、建て替えできない
- 建物の所有者が亡くなった場合に必要書類が増え、手間がかかる
登記情報が抹消されていないことで、実際には建物はすでになくなっているのに、新たな建築や売却ができないという状況になりかねません。
放置するメリットはなく、あとあと手続きが煩雑になるだけなので、建物がなくなった場合は1カ月以内に滅失登記を行いましょう。
滅失登記の必要書類を確認!ポイントもご紹介
滅失登記を行う上で必要な書類は次のとおりです。
- 滅失登記申請書
- 滅失した建物の登記事項証明書(登記簿謄本)
- 登記資料(公図・地積測量図・建物図面など)
- 建物滅失証明書
- 取り壊した業者の印鑑証明書
- 会社代表者の資格証明書:取り壊した業者が会社の場合
- 代理権限証書(委任状):土地家屋調査士など代理人へ登記を依頼する場合
必要な書類に関するポイントもご紹介します。
滅失登記申請書の記載事項と注意点
滅失登記を行うには、滅失登記申請書を記入し、不動産の所在地を管轄する法務局に提出します。
主な記載項目は、住所氏名、連絡先の電話番号といった申請人の情報。
滅失登記したい建物の不動産番号と、所在や家屋番号、種類や床面積など建物の表示です。
建物の表示は、登記事項証明書(登記簿)の記載と一致させる必要があります。
上記に加えて、登記原因(取り壊し等)と日時を記載します。
申請人の氏名住所のあとには、印鑑(認印でOK)を押印。
登記情報における申請人の住所、または氏名に変更がある場合は、変更したことがわかる証明書として、住民票や戸籍等を添付する必要があるのでご注意くださいね。
建物滅失証明書には場合によって印鑑証明書など添付書類が必要
建物滅失証明書とは、建物を取り壊した業者による「間違いなく該当建物の取り壊しを行った」と示す書類。
主な記載項目は次のとおりです。
- 建物の表示(所在、家屋番号)
- 滅失の理由と日時(いつ取り壊したか)
- 所有者の氏名と住所
- 解体した業者の住所氏名(会社であれば会社名・代表者名)
決まった形はないので、法務局の様式を参考に自分で作成し、解体業者の印鑑捺印後、送り返してもらったものを使っても問題ありません。
建物滅失証明書には、取り壊しを請け負った業者の印鑑証明書と、業者が会社であるなら、代表者の資格証明書を添付する必要があります。
ただし、業者が会社である場合は、登記申請書に会社法人等番号を記載すれば、どちらの書類の添付も省略可能です。
建物の所有者が亡くなっている場合には別の書類も必要
滅失した建物の登記簿上の所有者が亡くなっている場合は、先に紹介した書類の他にも、次の書類を用意する必要があります。
- 建物の所有者の戸籍謄本または除籍謄本
- 申請者の戸籍謄本
- 登記簿上の所有者の住所と、所有者の本籍のつながりがわかる戸籍の附票等(本籍が記載されているもの)
- 相続人(申請人)の住民票または戸籍の附票
建物の所有者の戸籍謄本または除籍謄本は、所有者が亡くなっていることを証明するために必要な書類です。
戸籍にだれも残っていない場合は除籍謄本、それ以外は戸籍謄本を取得します。
申請者の戸籍謄本は、申請者と所有者が相続関係にあることを示すために必要な書類です。
所有者の戸籍謄本に申請者が記載されている場合は必要ありません。
滅失登記を所有者が自分で行う流れ
滅失登記の手続きを所有者自身で行う場合、基本的には必要書類を集めて、建物の所在地を管轄する法務局へ提出・登記申請する流れとなります。
申請書は、法務局または、法務局のホームページにある様式をダウンロードして取得可能です。
書類の提出・登記手続きの手段としては3つ。
法務局に直接書類を持参するか、郵送するか、マイナンバーカード(ICカードリーダライタが必要)を使用してオンライン申請するかの3つの方法があります。
申請し、登記所から「登記完了証」が発行されたら、滅失登記完了です。
登記完了証を返送してもらう場合は、返送用封筒・切手を郵送時に添付してください。
返送は、簡易郵便(簡易書留・レターパックプラス520を含む)のみ可能となっています。
滅失登記手続きにかかる費用相場
滅失登記を自分で行う場合にかかる基本の費用は、法務局へ支払う登記事項証明書と登記資料の発行手数料です。
登記資料は、「地図等情報」を請求することで発行できます。
請求方法によって次の表のとおり、金額が異なります。
書面請求 | オンライン請求後、送付 | オンライン請求後、窓口で交付 | |
登記事項証明書 | 600円 | 500円 | 480円 |
地図等情報 | 450円 | 450円 | 430円 |
なお、土地家屋調査士に依頼して登記を行う場合は、報酬の相場は3〜5万円ほどとなっています。
解体費用や、出費を抑える方法が気になる方は、「実家の空き家の解体費用はどのくらいになる?抑えるコツや補助金も知ろう」もぜひご覧ください。
また、解体工事には高額な費用がかかることがほとんど。
空き家を解体するかどうか検討中の方は、「空き家は解体して売却するべき?メリットデメリットや費用目安を解説」もあわせてご参照くださいね。
滅失登記とは建物がなくなったことを公的に示すもの
滅失登記とは不動産登記の1つで、主に建物の全部が解体や火災などで滅失した際、「建物がなくなった」と登記簿に記録する手続きのことです。
法的な義務として、滅失した日から1カ月以内に行う必要があります。
登記していないと実際に建物はないのに、公にはあるものとして扱われてしまい、建物を解体して更地にしても、土地の売却や新たに建物を建てることができないなど、デメリットが発生します。
滅失登記は、専門家に依頼しなくても自分で手続きができます。
手間を省きたい、手続きが不安に感じるといった場合、土地家屋調査士に依頼するのも良いでしょう。
登記せずに放置して所有者が亡くなってしまうと、必要な書類が増えてしまうので、建物がなくなったら1カ月以内に、登記手続きを行うことが大切です。
栃木県で不動産の売却を検討している方は、栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」に、ぜひご相談ください。