土地を分筆して売却するには?費用や注意点もチェック!
こんにちは。栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」の小川です。
分筆とは、一筆の土地を複数に分けてから、登記簿に登録することを指します。
「土地を分筆して売却したいけど、どうすれば良いのだろう」と気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、土地の分筆から売却するまでの流れを解説します。
かかる費用や、分筆時の注意点もあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
土地売却時の「分筆」とは?
分筆とは、一筆(1つの地番が付された土地)を複数に分割して、それぞれを登記することです。
例えば、あなたの土地が現在「15番」だとします。
2つに分筆する場合、「15番1」と「15番2」として登記簿に登録するということですね。
地番が別のものになれば、別の土地として法的に扱えるようになり、売却や相続の際の所有権移動がスムーズに行えるようになります。
そのため一般的には、次のようなケースで分筆を行うことが多いです。
- 面積が広い土地を売却したい場合
- 1つの土地を複数の相続人に分けたい場合
- 親の所有地に子ども名義の建物を建てる場合 など
広すぎる土地から戸建て用に需要があるサイズの土地を分筆して売り出せば、土地を余らせることがなくなり、一般的な買い手が付きやすくなるでしょう。
複数の相続人で財産分割する場合も、分筆すれば個々の土地を個人名義として所有できるので、共有名義とするよりも将来的な処分行為でトラブルになりにくいといえます。
親の所有地に子どもが建物を建てる場合では、敷地を分けて名義を家とセットにしておけば、親の所有分と区分しやすく、財産整理の際、問題が起こりにくいでしょう。
広い土地の売却には分筆以外にも方法がありますので、気になる方はぜひ「広い土地の売却を解説!売れないといわれる理由や売却方法など詳しく!」もあわせてご覧ください。
土地を分筆して売却する流れ
土地の分筆は測量図の作成など専門的な知識を要するため、土地家屋調査士に任せるのが一般的です。
土地家屋調査士とは、土地調査や測量のプロであり、登記申請も行える分筆の専門家のことです。
今回は、土地家屋調査士へ依頼することを踏まえた流れをご紹介します。
土地を分筆した場合に要する期間は?
土地家屋調査士に分筆を依頼し、登記手続きが完了するまでの期間の目安は、最短でも2〜4カ月ほどだといわれています。
境界確定測量が必要な場合は、隣地所有者とのやり取りや役所の手続き、必要書類の作成のためさらに時間がかかりますので、1年を超えることもあることを知っておきましょう。
【土地を分筆して売却する流れ】
- 不動産会社に査定を依頼する
- 不動産会社と媒介(仲介)契約を結ぶ
- 土地家屋調査士に依頼する
3-1.必要書類の取得
3-2.現地調査(筆界・境界の確認)
3-3.【隣地との境界線が明確でない場合】境界確定測量
3-4.分筆案の作成
3-5.境界標の設置
3-6.必要書類作成と登記申請 - 販売活動を開始する
- 買い主と売買契約を結ぶ
- 売却代金の決済、物件の引き渡しを行う
通常の売却と異なる部分は、上記の流れですと「土地家屋調査士に依頼する」の部分です。
「土地家屋調査士に依頼する」以外は一般的な不動産仲介と変わりません。
不動産仲介の基本的な流れも確認したいという場合は「不動産仲介とはどんな仕組み?流れや仲介手数料の目安などを解説!」もあわせてご参照ください。
一般的な売り出しから引き渡しまでの期間が、約3〜6カ月かかることを考慮すると、余裕のある売却期日を定めて、スケジュールを組むことをおすすめします。
全体の流れを確認したところで、続いては土地家屋調査士に依頼してから、販売活動を開始するまでの流れをご紹介しますね。
なお、土地家屋調査士は依頼したい先があれば自分で手配して良いですし、特に当てがない場合は、不動産会社に相談すると紹介してもらえる場合もありますので事前に相談してみましょう。
必要書類の取得
土地家屋調査士がまず行うのは、必要書類の取得です。
【必要書類】
- 公図
- 地積測量図
- 登記事項証明書
- 確定測量図(境界確定図)
法務局や役所で取得し、土地の状況がどうなっているのか、また、登記簿上でどのように登録されているのか確認します。
確定測量図は、隣地との境界線を明示する測量図であり、境界線が曖昧な場合は作成する必要があります。
現地調査(筆界・境界の確認)
次に、公道との境である「筆界」や、隣地との「境界」が登記簿上の記録と相違ないか確認します。
確認は、筆界は役所の職員などに、境界は隣地所有者に立ち会ってもらう形で行います。
【隣地との境界線が明確でない場合】境界確定測量
確定測量図がない、隣地との境界がわからない、といった場合は、境界確定測量を行います。
測量後、隣地所有者に確認、合意がもらえたら、確定測量図や、当事者が測量内容を承諾したと示す「筆界(境界)確認書」を作成します。
分筆案の作成
分筆案とは、測量図をもとに、土地をどのように分けるかを記した書類です。
主に立会いの際、役所や隣地所有者に分筆内容を説明するために用います。
土地の価格を上げるためには、なるべく形状が整形地になるよう分けることがポイントです。
また、原則、幅員4m以上の前面道路に2m以上敷地が接しなければならないという「接道義務」の条件を満たす必要があります(建築基準法第42条・43条)。
境界標の設置
分筆案をもとに隣地所有者や役所職員に立ち会ってもらい、合意が得られれば、境界を示す杭「境界標」を設置します。
必要書類作成と登記申請
境界標を設置したあとは、下記の書類を揃えて、法務局に分筆登記を申請します。
【申請に必要な書類】
- 登記申請書
- 地積測量図
- 筆界確認書
- 現地案内図
- 委任状(代理人に登記を任せる場合に必要)
土地の分筆にかかる費用
土地家屋調査士に土地の分筆を依頼した場合、確定測量なしの場合は18万円ほど、確定測量が必要な場合は70万円以上、なかには100万円を超えるケースもあります。
費用別の目安金額は、次のとおりです。
<登録免許税(税金)として>
分筆後の土地の数✕1,000円(例:2筆の場合は2,000円と計算する)
<土地家屋調査士への報酬として>
- 資料調査:約3万円~
- 測量:【確定測量なし】約10万円~、【確定測量あり】約40万円~
- 筆界確認書作成:約10万円~
- 境界確定図作成:約10万円~
- 登記申請:約5万円~
金額は、分筆に必要な資料の数や測量の手間などで異なりますので、相場の目安としてご参照ください。
土地を分筆して売却する際の注意点
土地を分筆して売る場合、次の点を押さえておくことが重要となります。
- 分筆した土地は同時に売り出せない
- 建物がある場合は建物登記も変更が必要である
- 土地の分け方は不動産会社と相談するのがおすすめ
まず、分筆した複数の土地は、一度に売却できません。
複数の土地を継続して不特定多数の人に売却するには、宅地建物取引業の免許が必要だからです。
1つの土地を売り出したら、2つ目以降は期間を置かないといけないことにご注意ください。
そして、分筆した土地の上に建物がある場合、地番とともに建物の所在地も変わります。
土地のみ登記した場合、建物の所在が不明となってしまうので、建物もあわせて変更登記しましょう。
最後に、土地を分筆してから不動産会社と媒介契約を結ぶことも可能ですが、売却に適した土地の分け方が不安な場合は、事前に不動産会社と契約しておくことをおすすめします。
土地家屋調査士は登記や測量図作成のプロですが、「どう分筆すれば高く売れやすいか」といった判断については、不動産売却の知識や経験が豊富な不動産売買のプロである不動産会社に軍配が上がるからです。
より的確なアドバイスを得られるよう、物件所在地のあるエリアに詳しく、実績のある不動産会社を選んでくださいね。
土地を分筆して売却するなら事前に不動産会社に相談しよう
分筆とは、一筆の土地を複数に分けて登記することです。
売却に際しては、広い土地を分けることで使い勝手の良いサイズになり、一般の買い手が付きやすくなるというメリットがあります。
専門的な知識が必要なため、土地の現況の確認、必要書類の作成、測量や隣地所有者などとの立会いなど、分筆の準備や手続きは土地家屋調査士に任せるのが一般的となっています。
ただし、土地家屋調査士の場合、どのように分割すれば高く売れやすいか、買い手が付きやすいかといった観点では不動産売却の専門家ではありませんので、売却に適した土地の分け方についてはあまり詳しくない可能性もあります。
土地家屋調査士の紹介をしてもらえるかも含めて、分筆する前に不動産会社に相談しておくと、有用なアドバイスをもらえるでしょう。
栃木県で不動産の売却を検討している方は、栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」に、ぜひご相談ください。