お墓に近い家は売却できる?価格への影響と売り方を解説
こんにちは。栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」の土屋です。
「家を売却したいけど、近くにお墓があるので価格が下がってしまうのでは...」
「お墓が近いと買い手がつかないのではないか...」
このように、お墓の近くにある家の売却について不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。
実際、不動産取引においてお墓は「嫌悪施設」の一つとされ、売却価格が一般的な相場より1〜3割ほど下がることがあります。
しかし、お墓に近い家には「地盤がしっかりしている」「日当たり・風通しが良い」といった意外なメリットもあります。
そこで今回は、お墓に近い家の売却における価格への影響や、高く売るためのポイントについて詳しく解説していきます。
お墓に近い家の売却価格への影響
不動産の価値は、建物の状態だけでなく周辺環境によっても左右されます。
お墓が近くにある場合、どのように価格に影響するのか、詳しく見ていきましょう。
嫌悪施設として扱われる理由
お墓は不動産取引において「嫌悪施設」の一つとして扱われます。
嫌悪施設とは、その存在自体が不快感や嫌悪感を生じさせる可能性のある施設のことです。
明確に定めがあるわけではありませんが、一般的には具体的には以下のような施設が該当します。
- 心理的に忌避される施設:墓地、葬儀場、刑務所など
- 騒音や振動が発生する施設:高速道路、鉄道、飛行場など
- 悪臭や煤煙が発生する施設:工場、ゴミ焼却場、火葬場など
- 治安の悪化が懸念される施設:暴力団事務所、風俗店など
このうち、お墓は心理的な忌避施設として分類されます。
人によって受け取り方は異なりますが、一般的に良い印象を持たれにくい施設とされているのです。
なお、嫌悪施設の有無以外にも、さまざまな要因が売りやすさに影響します。
こちらのコラムでもご紹介しておりますので、あわせてご参考ください。
売れる土地・売れない土地の特徴は?売却しやすくするポイントも解説
売却価格の目安と価格低下の要因
お墓に近い家の売却価格は、通常の相場から1〜3割程度下がるケースが一般的です。
価格が下がる主な要因は以下の2つです。
- 買主が限定される
- 心理的な影響
多くの方はお墓に対してプラスのイメージを持っているわけではなく、買主は「お墓を気にしない人」に限定されてしまいます。
風水面ではマイナスの影響があると考えられており、風水を気にする方にも敬遠される可能性があります。
なお、価格への影響度は物件によって大きく異なります。
価格への影響を避けるためにお墓の存在を隠して売ることはできず、売主は、必ず買主へ告知する必要(告知義務)があります。
告知義務については、こちらのコラムをご覧ください。
不動産売却は告知義務がある!告知が必要な瑕疵や売却時の注意点も
公共交通機関へのアクセスの良さや、日当たりの良さなど、他の条件が優れている場合は、価格低下を最小限に抑えられる可能性もありますよ。
お墓に近い家の売却時の強みと買主が気にするポイント
お墓に近い家は一般的に敬遠されがちですが、実は売却時にアピールできる強みがたくさんあります。
また、買主が気にするポイントを理解しておくことで、適切な対策を取ることができます。
売却時にアピールできる5つの強み
お墓に近い家ならではの特徴を、売却時の強みとして活かすことができます。
以下の5つのポイントを、不動産会社とも共有しながら買主にアピールしていきましょう。
①地盤が強い物件が多い
墓地や霊園は、永く継承されることが前提のため、自然災害の影響を受けづらい地盤のしっかりした場所に作られることが一般的です。
そのため、近隣の物件も地盤が安定している可能性が高く、地震や水害に強いという特徴があります。
②日当たりや風通しが良い
お墓は低層な施設のため、日光や風を遮ることがありません。
洗濯物も乾きやすく、室内も明るく過ごしやすい環境を保てます。
③閑静で自然が豊か
お墓は、騒がしい場所ではありません。
また、特に規模の大きな霊園では緑も多く配置されています。
このような環境は、都会の喧騒から離れた、落ち着いた住環境を求める方にアピールしやすいでしょう。
④住環境が変化しにくい
お墓が他の建物に建て替えられる可能性は低く、将来的な住環境の変化が少ないと考えられます。
長期的な居住を考える方にとって、この安定性は大きな魅力となるでしょう。
⑤実害が少ない
工場や飛行場などと異なり、騒音や振動、悪臭といった実害が日常的に発生しないのがお墓の特徴。
適切に管理されているお墓であれば、日常生活への影響はほとんどありません。
買主が気にする4つの課題点
一方で、買主が懸念する可能性のある課題点もあります。
これらを理解し、対策を講じることで、スムーズな売却につなげていきましょう。
①周辺の明るさへの不安
夜間は人通りが少なく、街灯なども限られる傾向にあります。
ただし、防犯カメラや外灯の設置で対応可能です。
②線香のにおい対策
お墓が近すぎると、線香のにおいが洗濯物や室内に染み付くのが気になるという方もいらっしゃるでしょう。
この点は、距離や風向きによって影響度が変わってきますので、実際の状況を正確に伝えることが重要です。
③お墓の管理状態
管理が行き届いていないお墓では、野良猫やカラスによる被害が発生することがあります。
しかし、多くの霊園では適切な管理が行われており、このような問題は限定的です。
実際に住んでいて被害がなかったのであれば、その点もしっかり伝えると買主の安心につながります。
④お盆時期の一時的な混雑
お盆やお彼岸にはお墓参りに訪れる方が増え、一時的に騒がしくなったり、路上駐車が増えたりする可能性があります。
ただし、これは年に数回の一時的なものであることを説明しましょう。
また、路上駐車に対しては、対策を講じている墓地もあります。
実際に暮らしてみて、お盆やお彼岸に、どの程度生活に影響があるのか伝えられると良いでしょう。
お墓に近い家を高く売るためのポイント
お墓に近い家を売却する際は、適切な準備と戦略が重要です。
ここでは、少しでも高く売却するためのポイントを具体的に解説します。
適切な価格設定と値引き幅の検討
売却価格の設定は、慎重に検討する必要があります。
家の状況が良かったり、公共交通機関のアクセスが良好だったりしても、価格はどうしても相場よりも下がってしまいやすいです。
まずは複数の不動産会社に査定を依頼し、近くの他の物件の価格とも比較しながら、適切な価格帯を把握しましょう。
また、お墓が近くにあることを理由に、値下げ交渉をされるケースもあります。
値下げ交渉は想定内の出来事として捉えておき、あらかじめ許容できる値引き幅を決めておくことも大切です。
物件の強みを活かした売却戦略
お墓に近い家固有の価値を最大限活用するため、以下のような戦略を立てましょう。
想定購入者の明確化
お墓に近い家の特徴・メリットは、静かで日当たりや風通しが良い点。
また、地盤の安定性や環境変化の少なさも魅力です。
このような特徴やメリットを生かせる、以下のような購入者層をターゲットにしてみましょう。
- 静かな環境を求める在宅ワーカー
- 自然豊かな環境を好む家族
- 地盤の良さを重視する防災意識の高い方
- 長期居住を考えている方 など
アピールポイントの具体化
物件の価値を具体的に示すため、以下のような情報を準備しておきましょう。
- 実際の日当たり具合や騒音レベルのデータ
- (あれば)地盤調査の結果
- 周辺の緑地率や環境の良さ
- お墓からの具体的な距離と生活への影響度
「静か」「緑が多い」といわれても、具体的にどの程度なのかがイメージしづらいという方も多いでしょう。
それぞれ、客観的な判断をサポートできるデータがあると、説得力が増しますよ。
買取売却の活用方法
通常の仲介での売却が難しい場合は、不動産会社への買取依頼も検討しましょう。
買取売却には以下のようなメリットがあり、特に早期売却を希望する方に適しています。
- 売却までの期間が短縮できる(最短1〜2週間)
- 確実な売却が可能
- 手続きが簡単
- 仲介手数料が不要
ただし、買取価格は通常の取引価格より2〜3割程度低くなる傾向があります。
早期売却と売却価格のバランスを考慮して、検討することをおすすめします。
仲介での売却と買取での売却の違いについては、こちらのコラムをご参考ください。
不動産売却の仲介と買取の違いを解説!メリット・デメリットもご紹介
お墓に近い家も売却できる!不動産会社と戦略的に進めよう
お墓に近い家の売却は、一般的な相場より1〜3割ほど価格が下がる可能性があります。
しかし、「地盤が良好」「日当たり・風通しが良い」「閑静で自然豊か」「住環境が安定している」といった強みを適切にアピールすることで、スムーズな売却も可能です。
売却を成功させるためのポイントは以下の3つです。
- 複数の不動産会社に査定を依頼し、適切な価格設定を行う
- 物件の強みを活かし、それを求める購入者層をターゲットにする
- 早期売却を希望する場合は、買取売却の活用も検討する
また、線香のにおいやお盆時期の混雑など、買主が気にする点については、正確な情報を伝えることが重要です。
栃木県で不動産の売却を検討している方は、栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」にご相談ください。
お客様の不動産売却をできるだけ良い条件で査定・売却できるよう正しい姿勢で対応いたします!
那須塩原店 土屋 清