不動産売却のコツ

固定資産税を滞納している不動産は売却できる?方法や注意点を解説

こんにちは。栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」の小川です。

 

固定資産税とは、毎年1月1日の時点で土地や家を所有している人に課される税金のことです。

 

固定資産税を滞納している場合、「滞納していても不動産の売却はできるのだろうか」と心配される所有者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

そこで今回は、固定資産税を滞納した不動産は売却できるのか、売却方法や注意点を解説します。

滞納するとどうなるのか、流れもご紹介しますのであわせて参考にしてください。

固定資産税

 

 

固定資産税を滞納するとどうなる?

固定資産税を滞納した場合の流れは、次のとおりです。

  1. 納期限の翌日から延滞金が発生する
  2. 納期限から20日以内に督促状が送付される
  3. 督促状の発行から10日を経過すると差し押さえが可能になる
  4. 財産調査が行われ、対象不動産が差し押さえとなる
  5. 差し押さえ物件が公売にかけられる

 

固定資産税の納付を怠ると、納期限を過ぎた翌日から延滞金が課せられます。

 

延滞率は自治体によって異なりますが、例えば栃木市の場合、市税の納期限を過ぎると、次の延滞率をかけた延滞金が、もともとの税金に加算されます。

 

期間 納期限の翌日から1カ月以内 納期限の翌日から1カ月超
2014(平成26)年
1月1日~
2.9% 9.2%

 

ペナルティとは別に、納期限から20日以内に督促状が送られてきます。

督促状を放置していると、10日過ぎたころに、自治体による財産の差し押さえが可能になります。

 

対象不動産が見つかれば差し押さえられ、「公売」にかけられる流れです。

公売とは、差し押さえ財産をオークションにかけて売却する競売のような制度で、現金化された財産は、滞納税に充てられます。

 

公売にて売却された物件は、市場価格の7〜8割ほどとなることが多いです。

 

 

固定資産税を滞納した不動産の売却は可能?

固定資産税を滞納しても、不動産の売却自体は可能です。

ただし注意点として、物件の差し押さえの前後で、対処法が変わります。

 

差し押さえの前と後で、ケース別に売却方法を解説していきます。

 

【差し押さえ前】滞納税を完納すれば売却できる

売却したい物件がまだ差し押さえされていないなら、滞納している固定資産税を完納すれば、売却に問題ありません。

 

厳密にいえば、完納しなくても売却自体は可能です。

 

しかし、いつ差し押さえられるかわからないため、「買いたい」と希望する購入者は見つけにくいでしょう。

差し押さえのリスクを先に解消するほうが、高くスムーズに売れる期待が持てます。

 

注意点として、固定資産税を完納する前に差し押さえられる恐れもあります。

滞納分のお金がまだ用意できていなくても、納期限を過ぎてしまった場合は早めに税務署に事情を相談し、支払う意思があることを伝えましょう。

 

【差し押さえ後】まず「差押登記」の抹消が必要である

すでに物件の差し押さえを受けていたら、登記事項証明書(不動産登記簿謄本)に記載される「差押登記」を抹消してもらう必要があります。

 

差し押さえとは、財産の処分を禁止することであり、不動産の売買ができないからです。

 

差し押さえを解除するには、基本的には全額納付が必要となります。

自治体によって解除条件の厳しさが異なり、交渉や、預金など現金化できる財産を代わりにすることで、状況によっては解除してもらえる場合もあります。

 

一括納付が難しい場合でも、交渉によって「分納での支払い」や「売却代金を返済に充てる」といった条件で受け付けてもらえる可能性も。

差し押さえ前と同様に、まずは早めに自治体に連絡し、事情を話すことが大切です。

 

 

固定資産税を滞納した不動産の売却方法と注意点を解説

固定資産税を滞納した場合、不動産の売却方法にはいくつかあります。

滞納分を完納できる場合と、納付が難しい場合とで分けると、次のとおりです。

 

【税金を完納できる場合】

  • 不動産会社に仲介を依頼して売却する
  • 不動産会社に直接売却する(不動産買取)

 

【税金納付が難しい場合】

  • 自治体による差し押さえ前に「任意売却」を行う

 

ケース別に解説します。

 

完納できるなら通常の売却方法が可能

滞納した固定資産税を完納できる場合は、不動産会社に買い手を探してもらう「仲介」が利用できます。

 

滞納がなければ、通常の不動産として売却できるので、物件の立地や周辺環境など条件が良ければ、高く売れる期待が持てます。

 

また、完納後に「なるべく早く売りたい」という方には、不動産会社に直接売却する「不動産買取」の検討をおすすめします。

仲介の売却価格よりも買取価格が低くなる傾向がありますが、すでに買い手がいるので、スムーズな現金化が可能です。

 

支払いが難しいなら差し押さえ前に「任意売却」を行う

納付が難しいなら、自治体に差し押さえられる前に売却する方法もあります。

固定資産税を滞納している場合、住宅ローンの返済も滞っている可能性もあるでしょう。

 

その場合は、「任意売却」を行えば、ローンの残債が残っていても売却が可能になります。

任意売却とは、融資元の金融機関より合意を得ることで、担保として設定された「抵当権」を外し、通常の物件として売却できる方法です。

 

売却代金の用途を金融機関と相談する必要はありますが、公売や競売で売却されるよりも利益が期待できます。

自治体に差し押さえられる前に、金融機関に任意売却の相談をしましょう。

 

売却時の2つの注意点

固定資産税の支払いに関して、注意点が2つあります。

 

1つは、固定資産税の滞納分を分納できる場合でも、分納している間に差し押さえを受けるケースがあることです。

分納はあくまで例外的なものであり、一括で支払うのが基本だからです。

 

猶予ができたからと安心せず、充当できる財産があれば早めに申告して、物件が差し押さえされないように対応しましょう。

 

もう1つは、売却日が1月1日以降、例えば1月2日に売却した場合、売り主に納税義務が発生する点です。

 

一般的には、日割り計算して買い主と支払いを折半しますが、納税通知書は売り主のもとへ送られる点にご注意ください。

 

理由としては、固定資産税の納税義務者は、1月1日時点の所有者になるからです。

例外として、所有者が亡くなった場合は、相続登記に関係なく、相続人の代表が支払うことになります。

 

詳しくは「相続登記しない場合は固定資産税を誰が支払う?申請の義務化はいつ?」にて解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

 

 

固定資産税を滞納した物件の売却は差し押さえ前に検討を

固定資産税を滞納すると、督促状が届き、そのまま放置すると物件が差し押さえられ、公売にかけられる恐れがあります。

 

差し押さえを受けると、登記事項証明書に「差押登記」されて所有者の都合で不動産を売却できなくなります。

 

差押登記を解消してもらうには、基本は固定資産税の完納が条件となります。

自治体によっては、交渉して分納に応じてくれる場合もありますが、分納できても支払い途中で財産の差し押さえを受けないという保証はありません。

 

公売にかけられると市場価格より安くなることが多いですし、差押登記の解除も手間がかかるので、なるべく滞納分を早めに支払うか、差し押さえ前の売却がおすすめです。

 

栃木県で不動産の売却を検討している方は、栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」に、ぜひご相談ください。

 

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