不動産売却時にふるさと納税で節税可能?行う注意点も解説
こんにちは!栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」の星です。
不動産売却時に発生した利益は、ふるさと納税で所得税・住民税の控除を受けられます。
ただし、控除金額には上限があり、場合によっては節税効果が低いこともあるため、注意が必要です。
ふるさと納税は「自治体に寄附をしたら返礼品がもらえる」というイメージが強く、仕組みまではいまひとつわからない…といった方もいるかもしれませんね。
そこで今回のコラムでは、不動産売却でふるさと納税は行うべきかどうかを解説!
控除上限額の計算や手続きの流れもご紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
不動産売却でふるさと納税は行うべき?
不動産売却で得られる利益は「譲渡所得」と呼ばれる所得の一種。
ふるさと納税は、寄付金額から自己負担額として2,000円を差し引いた金額を所得税・住民税から控除してもらえる制度なので、譲渡所得も節税対象です。
実質的に言えば、差し引いた金額分を前払いで納税する形となり、追加で返礼品をもらえるから「お得!」となるわけですね。
また、控除できる金額には、寄附したい自治体だけでなく、住所地にもきちんと税金を納めてもらえるよう上限が設けられています。
寄附を行う本人の収入が増えると、上限金額もアップします。
給与収入がある場合は不動産を売却した利益がプラスされ、より多くの寄付をしても控除が受けられるようになります。
返礼品という「物」ではあるものの見返りが得られるので、単純に考えれば、不動産売却にふるさと納税は節税対策として有効であると言えるでしょう。
ただし、中にはお得なケースと行わない方が良いケースがあるのでご説明しますね。
取得費がわからない不動産の売却時には特に有効
譲渡所得を具体的に言うと、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた額です。
譲渡費用には仲介手数料や測量費用・解体費用などの諸費用が含まれます。
売却価格と諸費用の価格差が少ないとそれほど利益は見込めませんが、中には取得費が不明の物件もあります。
たとえば、購入履歴が古く、取得費がいくらかわからない相続物件などです。
取得費が不明のときは売却額の5%相当額にできるという定めがあり、土地建物を4,000万円で売った場合、取得費を200万円にできます。
売却時に150万円の諸費用がかかったとすると、売却益は次の式で計算されます。
譲渡所得(売却益)=4,000万円-(200万円+150万円)=3,650万円
取得費が安いと譲渡所得が多くなるため課税所得も増えることになり、取得費不明の不動産は控除額の上限アップが期待できます。
ふるさと納税は所得の多い人ほどお得な制度なのです。
譲渡所得について「不動産売却益とは?計算方法や課される税金も確認!節税する方法も」でも詳しく解説していますので、ぜひご参照くださいね。
特別控除を受けられる場合は行わないほうが良い
土地や建物を売却(譲渡)した場合、一定の条件を満たすことで特別控除を受けられます。
代表的なものが、マイホームを売ったとき、家の所有期間の長さに関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例です。
特別控除を受けられる条件は、国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」をご参照ください。
売却益があっても3,000万円以下なら、特例の利用で譲渡所得はゼロになり、ふるさと納税を行う必要がなくなります。
基本的に、譲渡所得がゼロになるときは、ふるさと納税を行うメリットはないと言えますね。
特別控除が使えない場合はふるさと納税の有効活用を
マイホームを売って新居を購入する買い換えの場合は、「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」を利用する方も多いはず。
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅を取得した場合に、ローン年末残高に一定率をかけた金額を所得税・住民税から控除できる制度です。
先に挙げたマイホーム売却時の3,000万円の特別控除とは併用できないため、譲渡所得が発生した場合は、ふるさと納税を有効的に活用できます。
その他、自宅以外の別邸(セカンドハウス)や投資用の物件に適用する特別控除はないので、売却益が出た場合はふるさと納税を行う価値があるでしょう。
不動産売却でふるさと納税を行う際の計算や手続きの流れは?
ふるさと納税の控除上限額は、本人の収入によって異なるため、まずは「自分がいくら控除を受けられるのか」という確認が大切です。
控除額を計算するには、所得に応じた負担である「個人住民税所得割額」を算出する必要があります。
次の条件を用いて、計算方法を解説していきますね。
- 所得控除後の給与所得:800万円
- 不動産(所有期間が5年超)の譲渡所得:4,000万円
ステップ①:譲渡所得から住民税所得割額を計算しよう
譲渡所得にかかる住民税の税率は、土地や建物など不動産を所有していた期間によって異なります。
売却した年の1月1日時点で、不動産の所有期間が5年超の場合は「長期譲渡所得」、5年以下であると「短期譲渡所得」に分類されます。
住民税の税率は次の通りです。
- 長期譲渡所得:5%
- 短期譲渡所得:9%
例に挙げた「不動産(所有期間が5年超)の譲渡所得が4,000万円の場合」で計算してみると、住民税所得割額は次のようになります。
4,000万円×5%=200万円
ステップ②:不動産売却以外の所得から住民税所得割額を計算しよう
不動産売却以外の所得から住民税所得割額を計算するには、前年の「源泉徴収票」や「住民税通知書」が必要です。
給与などの収入から所得控除の額を引いた「所得控除後の金額」をもとに計算します。
所得控除後の金額は「課税対象となる所得」のこと。
不動産売却以外の所得では、課税対象となる所得金額に一律10%をかけて住民税所得割額を計算します。
今回例に挙げた所得控除後の給与所得額は800万円ですので、計算式は次の通りです。
800万円×10%=80万円
ステップ③:住民税所得割額を合計し、控除上限額を計算しよう
ふるさと納税の控除上限額は、次の式で計算できます。
控除上限額=住民税所得割額×20%÷(90%-所得税率×復興税率)+2,000円
先に計算した譲渡所得とそれ以外の所得割額を合計すると「200万円+80万円=280万円」となります。
所得税率は、課税される所得の金額(控除後の所得)に応じて異なり、今回の例(800万円)では23%です。
所得税の速算表は、国税庁「No.2260 所得税の税率」を参照してくださいね。
復興税率は、復興特別所得税として2013年1月1日から2037年12月31日までの所得に課され、102.1%となっています。
それぞれの数字を式に当てはめると、次の通り控除上限額が算出できます。
280万円×20%÷(90%-23%×102.1%)+2,000円=約84万円(控除上限額)
計算は手間がかかるので、手軽に目安だけを知りたい方は、総務省「ふるさと納税のしくみ」にて年収・家族構成別の表をご覧ください。
ふるさと納税の手続きから控除までの流れもチェック
不動産売却にてふるさと納税の節税効果を有効活用するには、控除上限額を超えない範囲で寄附を行いましょう。
売却した年の間に行わないと、譲渡所得の控除ができないことにも注意が必要です。
ふるさと納税を行うと、納税先の自治体から寄附の証明書・受領書が送られてきます。
大切に保管し、翌年の3月までに確定申告をすることで、控除が受けられます。
不動産売却でふるさと納税を行う際の注意点もチェック!
不動産売却でふるさと納税を行う際は、次の点に注意しましょう。
- 控除金額の上限を確かめてから寄付を行うこと
- 特別控除などを受ける場合は控除額を比較すること
- 不動産を売却した年の間に寄附をすること
- 確定申告を忘れず行うこと
どれか1つでも欠けると、不動産売却でふるさと納税を行うメリットを十分に活かせません。
特に、特別控除を受けられる場合は、ふるさと納税を利用した場合とどちらが得か、控除額を比較しておくことが重要です。
また、マイホームを売ったとき以外でも、特別控除を適用できる場合があります。
国税庁の「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」にて、該当する要件がないか確認してみてくださいね。
不動産売却にふるさと納税を活かすなら控除上限の確認を
ふるさと納税は、寄附をする本人の収入が増えるとその分、控除できる上限金額が上がります。
不動産を売却して獲得した譲渡所得も控除の対象ですので、売却益が発生した場合は、節税効果が期待できます。
ただし、マイホームを売ったときなどの特別控除を受けられる場合は、ふるさと納税の利用時とどちらの控除額が大きいか確認する必要があります。
ふるさと納税の節税効果を最大限活かすには、いくら寄附して良いか控除上限額の計算が重要です。
上限を超えないように行うだけでなく、売却した年の間に寄附を済ませなければ控除が受けられないのでご注意くださいね。
不動産売却について悩んだときは、お近くの不動産会社に相談するのがおすすめ!
栃木県で不動産の売却を検討している方は、栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」に、ぜひご相談ください。
大田原店 滝田 絵里花
不動産の売却はどんなふうに進めたらいいのか、ご心配なことや不安なことがたくさんあるかと思います。安心いただけるように売却の方法や流れもわかりやすくご説明致します。