土地売却における公示価格とは?実勢価格との違いや調べ方も解説
こんにちは。栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」の土屋です。
公示価格とは、国や都道府県が選定した「基準地」を調査し、適正価格として公表された「地価公示価格」「基準地価格(都道府県地価調査価格)」の2つの価格を指します。
どちらも、売り手と買い手の事情を省き、自由に取引した場合に成り立つだろうと考えられる更地価格です。
土地売却を検討中の場合は、「実勢価格とはどう違うの?」という疑問もあるかもしれませんね。
そこで今回は、土地売却における公示価格とはどのようなものか解説します。
公示価格の調べ方や、実勢価格との違いもご紹介しますので、ぜひあわせて参考にしてください。
土地売却における公示価格とは
公示価格とは「土地価格の客観的な目安」で、買い手や売り手の事情が省かれた、土地そのものにある価値を表したものです。
建物があっても、価格には反映されません。
「早く売りたいから多少安くても構わない」といったような取引当事者のさまざまな事情・動機に縛られることなく、自由に取引した場合に成立するだろう価格を示します。
「この辺りの土地はいくらくらいなのだろう」という、シンプルに土地の適正価格だけを参考にしたい場合、客観的な目安として活用できる価格ということです。
公示価格には「地価公示価格」と「基準地価格」がある
土地売却における公示価格とは、国土交通省が毎年発表する土地の価格「地価公示価格」と、各都道府県が発表する「基準地価格(都道府県地価調査価格)」の2つを指します。
地価公示価格は、縮めて「公示価格」「地価公示」と呼ぶケースも見られます。
地価公示価格と基準地価格には、大きく2つ、「公表元が国か都道府県か」という違いと、「価格調査の基準日」という違いがあります。
<公表元と基準日>
- 地価公示価格 → 国土交通省が毎年1月1日を基準に調査
- 基準地価格 → 各都道府県が毎年7月1日を基準に調査
代表として選出された「基準地」を専門家である不動産鑑定士が実際に訪れ、土地の収益の見込や、最新の取引事例を分析し、上記の基準日における適正価格を調整していきます。
どちらも毎年調査・発表され、更新されるものと知っておいてくださいね。
令和6年の地価動向は全国的に上昇傾向である
国土交通省の発表によると、令和6年の地価は、全国的に上昇傾向が見られます。
東京、名古屋、大阪圏の三大都市圏では、住宅地・商業地に関わらず、前年に引き続いて上昇率が拡大しています。
地方圏での住宅地上昇率は前年と同じですが、地価は3年連続で上昇しています。
都市中心部やその周辺部、利便性・住環境が良いエリアを筆頭に、住宅需要が着実に伸びつつあるといえるでしょう。
詳しくは、国土交通省「令和6年地価公示の概要」をご確認ください。
土地売却の公示価格と実勢価格の違い
土地の売却において「いくらで売れそうか」「売り出し価格をどのくらいに設定すると良いか」を判断するには、公示価格を含めて次の5つの価格が活用されます。
<土地価格の5つの指標>
- 地価公示価格
- 基準地価格(都道府県地価調査価格)
- 路線価(相続税路線価)
- 固定資産税路線価(固定資産税評価額)
- 実勢価格
路線価、固定資産税路線価は、どちらも道路に面した宅地の1㎡あたりの評価額です。
路線価は国税庁が公表する、相続税や贈与税といった税金の額を算出する際の基準で、公示価格の80%ほどになっています。
対して固定資産税路線価は、市町村が公にする、固定資産税の課税に際して指標となる土地価格で、公示価格の70%ほどに設定されています。
公示価格は、不動産取引時の客観的な目安としてだけでなく、税額算定の基準となる価格の目安にもなっているということですね。
詳しくは、総務省統計局の統計データFAQ「17C-Q06 路線価」をご確認ください。
公示価格と実勢価格の違い
では、実勢価格とはどのような価格かといえば、「実際の売買取引で成立する価格」を意味します。
公示価格は買い手と売り手の事情などが取り除かれ、土地そのものの価値を表した価格であるのに対して、実勢価格は様々な事情を含んで成立した実際の取引価格ということです。
不動産は一般的な商品とは異なり、「1ついくら」と決まっておらず、変動します。
形状が使いにくく買い手がなかなか見つからないことで、公示価格よりも安値で買い手に売ってしまったという場合もあるでしょう。
あるいは、周辺環境が充実していることで、公示価格より高い価値があると見込まれ、高値で購入されるケースもあります。
公示価格と実勢価格のどちらも参考にするのが良い
土地の価値を知るには、土地そのものの相場として公示価格も参考になりますし、実際に取引された実勢価格も役立ちます。
ただしどちらも、売却したい土地そのものの評価ではなく、類似物件の価格ですので、路線価や相続税路線価も含め、多角的な視点を持つことが大切です。
実際に土地を売るには、周辺環境など所在する地域の特徴、戸建てやマンションなど土地上の建物の有無、当事者の事情も影響してきます。
土地価格の目安だけでは、本来の価値を測りきれない場面も多いため、土地の売却を検討する場合は、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。
不動産会社は不動産の知識、地域情報を兼ね備えたプロですから、土地のメリット・デメリットも加味して、総合的に調査してくれます。
売り主ご自身で調べた土地価格は、査定結果が適切に判断されたかどうかの見極めに活用すると良いですね。
土地売却で公示価格を調べる方法
最後に、公示価格を調べる方法をご紹介しましょう。
地価公示価格、基準地価格ともに、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で検索できます。
検索の手順は次のとおりです。
①トップページから検索ページを開く
- 地図上で探したい:「地図から探したい方へ」を選択
- 住所から検索したい:「地域から探したい方へ」を選択
②表示される地図の左上「価格情報」をクリックし、検索設定を開く
- 地価公示価格:国土交通省地価公示」をチェック
- 基準地価格:「都道府県地価調査」をチェック
- 実勢価格:「不動産取引価格情報」「成約価格情報」をチェック
③チェック後に「決定」を押すと、地図上に価格情報※が表示される
※価格は最新のものが表示されるよう設定されているので、過去に遡って価格を調査したい場合は、チェック横の「条件設定」を開き、調査年を選択してください。
なお、住宅地などの用途の変更も可能です。
表示される価格は、1㎡あたりの金額です。
例えば、相場を知りたい土地に近い地価公示価格が43万5,000円であったとしましょう。
相場を知りたい所有地が200㎡の面積なら、計算式は「43万5,000円×200㎡=8,700万円」となり、土地の適正価格はおおよそ8,700万円ほどと考えられます。
ちなみに、実勢価格は公示価格の1.1〜1.2倍ほどとされています。
「公示価格×面積×1.1(あるいは1.2)」という計算式で求められ、上の例の場合は、「43万5,000円×200㎡×1.1(1.2)=9,570万円(1億440万円)」と計算できます。
公示価格以外の土地価格の調べ方は、下記の記事で詳しく紹介していますので、ぜひあわせてご参考にしてください。
土地の売却相場の調べ方は?価格の決まり方や高く売るコツも解説
土地売却における公示価格は相場調査の目安の一つとしよう
公示価格とは、国土交通省が発表する「地価公示価格」と、各都道府県が発表する「基準地価格」の2つの土地価格を指します。
どちらも、区域にて選出された「基準地」の基準日時点での評価価格です。
実際の取引価格である「実勢価格」とは異なり、買い手や売り手の事情などを省いた、土地そのものの価値を表したもので、土地売買における客観的な価格の目安に活用されます。
売りたい土地がいくらで売れそうか把握するには、公示価格だけを判断材料にするのではなく、実勢価格を含めたほかの土地価格、周辺環境など土地以外の要素もあわせることが大切です。
そのため、多角的に調査してくれる不動産会社に査定を依頼するほうが良いでしょう。
ご自身が調べた公示価格は、査定結果が適正な判断のもと下されたものなのか、確認のために使うのがおすすめです。
栃木県で不動産の売却を検討している方は、栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」に、ぜひご相談ください。
那須塩原店 土屋 清