物件状況報告書とは?記載内容や注意点を解説
こんにちは。栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」の土屋です。
物件状況報告書(確認書)とは、売却不動産の現況について説明するために作成された、不動産売買における重要書類の一つです。
「どんな内容を記載し、また誰が記載するのか」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、物件状況報告書の概要や、記載内容について詳しく解説していきます。
記載する際の注意点もあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
物件状況報告書とは?
物件状況報告書(確認書)とは、売り主が記載し、不動産売買契約を結ぶ際に買い主へと提出する、不動産売買における重要書類の一つです。
具体的には次のブロックでご紹介しますが、「土地や建物に不具合・問題があるかどうか(またはあったか)」という情報を中心に、売却物件の現在の状況についてまとめます。
なぜ物件状況報告書を作成するかと言いますと、主に「買い主とのトラブルを防ぐ」という目的が挙げられます。
売り主が買い主に内覧だけではわからない物件の状態を知らせることができますし、書面に物件の不具合や問題点など「瑕疵(かし)」を明記するので、「言った・言っていない」というトラブルになりにくいのです。
「物件状況報告書のほかにどのような重要書類があるのか気になる」という方はぜひ、こちらのコラムもご参照ください。
物件状況報告書に記載する内容
物件状況報告書に記載する内容は、主に「建物」「土地」「周辺環境」の3つに区分され、それぞれ書き込んでいく記入方法が一般的です。
ひな型は不動産会社から入手できるため、一から作成する必要はありませんが、記載項目が多いため、確認から記入までに時間を要します。
売り出し始めの段階など、なるべく早めに着手しておくと焦らずにすむので、記載漏れやミスを防げるでしょう。
では、具体的な記載項目と内容をご紹介していきます。
「建物」についての記載項目と内容
「建物」についてはまず、下記の4つのような瑕疵の有無、履歴、修繕の実施について記載します。
- 雨漏り
- シロアリ被害
- 傾き・腐食・不具合など建物の瑕疵
- 給排水施設の故障・漏水
例えば、「雨漏り」という記載項目については、下記の3つのいずれかにチェックを入れます。
- 現在までに雨漏りを発見していない
- 過去に雨漏りがあった
- 現在雨漏り箇所がある
過去に雨漏りがあった場合は、「具体的な雨漏り箇所」「修理は終わっているのかどうか」といった情報を書き込みます。
現在雨漏りがある場合は、具体的な箇所を追記します。
そして次のような、「調査を行なった記録(結果)があるかどうか」も記入します。
- 石綿(アスベスト)使用調査結果
- 新築時の建築確認通知書(確認済証)・設計図書
- 住宅性能評価
- 耐震診断
項目によっては、調査した日や担当者名、調査書類の名前のほか、建築業者など書類の発行に関わった業者名の記入欄が設けられています。
そのほか、「増改築や修繕、リフォーム工事の履歴」も書き込みます。
工事の内容や箇所、携わった建築業者名、工事にて発行された建築確認済証や、設計図書の有無もあわせてチェックします。
「土地」についての記載項目と内容
「土地」については、下記の4つの項目が設けられているのが一般的です。
- 境界確定の状況・越境
- 土壌汚染の可能性
- 地盤の沈下・軟弱
- 旧建物基礎や浄化槽、井戸などの敷地内残存物
1つ目は、隣地との境界が明確であるか、塀などの越境物がないか、境界・越境について取り決めた書類があるかといった内容となります。
2つ目は、土壌汚染の調査結果などを書き込みます。
ガソリンスタンドが建っていたなど、居住用以外の店舗・工場などの用途で敷地を使っていた場合の履歴があれば、あわせて記載しましょう。
3つ目は、「地盤が緩く、基礎の建築に注意が必要」といった情報や、現時点で地盤沈下が認められるといった場合です。
4つ目は、旧建物基礎や浄化槽、井戸などの残存物がある場合に記載します。
「周辺環境」についての記載項目と内容
「周辺環境」については、主に次の項目が挙げられます。
- 騒音・振動・臭気など
- 周辺環境に影響を及ぼすと思われる施設など
- 近隣の建築計画
- 電波障害
- 近隣との申し合わせ事項
- 浸水などの被害
- 事件・事故・火災など
周辺環境に関しては、建物や土地と違い、売り主の所有物ではありませんので、下記のように、「実際に住んでいて気になっていること」を書き入れていくイメージです。
- 隣人が夜中に楽器の練習をすることがある
- 浸水が多い地域である(実際に被災した場合はその事実も追記する)
- 近隣で自殺や他殺、人の死が関わる火災があった
- 町内会に属しており、ゴミの集積ルールや会費の徴収がある
基本的には、売り主ご自身が暮らしていて不便であったり、迷惑に感じていたり、一般的に気になるだろうと思う内容を記入していきます。
しかし、人によって何を気にするかは異なる場合があります。
記入が必要かどうかの最終決定は自己判断せず、「嫌だと思う人もいるかもしれない」という視点で不動産会社と相談しましょう。
物件状況報告書を記載するときの注意点と記載のポイント
物件状況報告書を記載する際には「知らないところは空欄で提出すれば良い」というわけではなく、「知ることができる情報を全て記載する」というスタンスが大切です。
「たぶんシロアリ被害なんてないだろうから、『無し』にチェックして大丈夫」などという自己判断は絶対にNGです。
きちんと確認せず「シロアリ被害がない」と記載し、契約後に実際に被害があったと明らかになった場合、損害賠償金の支払いを求められる恐れがあります。
「被害があると知っていたら購入しなかった」「契約内容と違う」などと、契約不適合責任を理由に契約解除されてしまう可能性も。
調べずに「瑕疵無し」と記載するのは、誠実ではありませんし、場合によっては虚偽の情報を記載したと判断されるでしょう。
そもそも「調べていない」こと自体も、良い判断とはいえません。
物件状況報告書の記載項目は総じて、売買取引に関わる重要な要素ですから、売り主には説明責任が生じます。
義務違反に該当する可能性が高く、請求を回避するのは難しいといえるでしょう。
物件状況報告書に正確な情報をできるだけ詳しく記載するポイント
不動産売却の際に損害賠償請求などのリスクを回避するには、物件状況報告書(確認書)に記載する情報がポイントです。
- 正しい情報を記載する
- なるべく詳しい情報を記載する
- 情報量・内容が不安な場合は特に、プロの力を借りる
物件状況報告書への情報の記載漏れを減らせば、契約後に買い主から「契約内容と違う。知らされていない」と指摘される事態を回避しやすくなります。
曖昧な記憶を頼りにするのではなく、過去の履歴や資料、実際の物件の状態を確認するなど、売り主ご自身で記載項目を1つずつチェックしましょう。
可能であれば、建築士などプロによる住宅診断「既存住宅状況調査(インスペクション)」を依頼して、専門家に調査してもらうことをおすすめします。
「プロに調査してもらった」という安心感を買い主に与えられますし、修繕のアドバイスをもらえるので、「不具合はあったが修繕した」という対応もできる利点があるからです。
また、基本の記載内容以外にも、マンション管理組合の規定など、そのほかに買い主へ引き継ぐべきことがあれば、不動産会社に相談しつつ、あわせて記入しておくことも大切です。
物件状況報告書とは売却不動産の現況を記した重要書類
物件状況報告書とは、売却物件の現在の状況をはじめ、過去の不具合の履歴、調査記録の有無などを記した重要書類です。
物件状況報告書の作成は売り主が行い、売買契約時に買い主に提示します。
記載内容は主に「建物」「土地」「周辺環境」の3つに区分され、記載項目が多岐に渡りますので、なるべく早くから物件状況報告書の作成に着手すると、記入漏れ・ミスを防げるでしょう。
また、物件状況報告書の内容と実際の物件が異なると買い主に損害賠償などを求められる恐れがあるため、正しい情報を調べ、なるべく詳しく記載することが大切です。
過去の履歴や資料、実際の物件の状態を確認するなど、売り主ご自身で記載項目を確認しましょう。
既存住宅状況調査を依頼して、プロに物件を見てもらうこともおすすめです。
栃木県で不動産の売却を検討している方は、栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」に、ぜひご相談ください。
那須塩原店 土屋 清