不動産売却は告知義務がある!告知が必要な瑕疵や売却時の注意点も
こんにちは。栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」の小川です。
不動産売却をする際、売り主には物件の状態を買い主に伝えなければいけないという「告知義務」があります。
「具体的にはどんなことを伝えないといけないのだろうか」と気になっている方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は、不動産売却における告知義務について徹底解説します。
告知が必要なケースや、違反した場合のリスク、注意点もあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
不動産売却の告知義務とは
不動産売却において、売り主は買い主に対して、売却物件の状態を伝える必要があります。
そのため、売却する物件に不具合や欠陥、傷といった「瑕疵(かし)」があれば、告知する義務があるのです。
具体的にどんな瑕疵があるかというと、主に次の4種類があります。
- 物理的瑕疵
- 法律的瑕疵
- 環境的瑕疵
- 心理的瑕疵
それぞれ解説していきましょう。
物理的瑕疵
物理的瑕疵とは、土地や建物の品質を損なう不具合や欠陥をいいます。
例えば、土地の場合は、地盤沈下がある、廃棄物が埋まっているなどがあります。
建物の場合は、シロアリ被害や雨漏り、床下浸水の履歴、ひび割れなどが挙げられます。
土地に問題があれば、建築の妨げになるでしょうし、家自体に不具合があれば、修理が必要だったり、快適な住み心地を損なったりするので、客観的に瑕疵と判断しやすいでしょう。
法律的瑕疵
法律的瑕疵とは、物件に法律的な制限があるということを意味します。
建物を建てる際には、建築基準法や都市計画法などの法律の定めをクリアする必要があります。
つまり、現行の建物が基準を満たしていなかったり、今の状態なら大丈夫だけど、条件によっては建てられない場合があったりするということです。
例えば、建築基準法第43条には、原則4m以上の道路(建築基準法第43条)に、2m以上接していないといけないという「接道義務」が設定されています。
義務を満たしていない物件は、今ある建物を取り壊すと再建築できないという制限があるのです。
接道義務については「接道義務とは?違反になるケースや例外についても解説」にて詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
環境的瑕疵
環境的瑕疵とは、主に物件周辺にある「嫌悪施設」や、近隣トラブルを指します。
売却物件そのものではなく、周辺環境が問題であるということです。
嫌悪施設とは、騒音や振動、排気など、快適な住み心地を損なったり、人に嫌悪感を抱かせる恐れのある建物のことです。
工場や下水処理場、風俗営業店、暴力団事務所、パチンコ店、葬儀場や墓地などが挙げられます。
近隣トラブルとは、騒音やゴミ、境界問題など、近隣住民との間に発生するトラブルです。
嫌悪施設も近隣トラブルも、人によって感じ方に差はありますが、一般的に良い印象はなく、物件の価値を下げるケースがあるため、瑕疵の一つといえます。
近隣トラブルについてはこちらの記事で解説していますので、ぜひご参照ください。
近隣・隣人トラブルのある家の売却方法は?解決策や告知義務も解説
騒音のあるマンションを売却する場合は告知義務がある?騒音の基準も確認
心理的瑕疵
心理的瑕疵とは、心情的に抵抗が生じる恐れのある瑕疵を意味します。
抵抗を感じるという点では、環境的瑕疵も心理的瑕疵の一つと見なせますね。
具体的には、殺人や自殺、孤独死、人の死が関わる大きな火災、業者が入って徹底的に清掃(特殊清掃)するような事故・自然死が起こったなど、事故物件である場合です。
また、長期間風俗や反社会的な活動に使われていたといった場合も、一般的に良くない印象を抱かせるため、瑕疵と判断できるでしょう。
中でも事故物件は心理的な影響が強いと見なされるため、広告する際「告知事項あり」と記載することがほとんどです。
不動産売却で告知義務違反した場合のリスク
不動産売却で告知義務に違反すると、どのようなリスクがあるのでしょうか。
不具合などの瑕疵について、事前に知っていたのにわざと隠してしまった場合、告知がなければ買い主は当然、「瑕疵のない物件を買うもの」として契約を結びます。
しかし、購入後に瑕疵、例えばシロアリ被害が見つかったとすれば、求めていた品質とは異なりますので、「知っていたら買わなかった」とトラブルになる可能性が高いでしょう。
瑕疵があるものとして買うのではなく、知らされていなかったのですから、売り主は「契約と違うものを売った」として、契約不適合の責任を問われるリスクを負うことになります。
買い主から問題を解決するための修理費用などの補償や、売買価格の減額、売買契約の解除を求められたり、損害賠償請求をされたりする恐れがあるのです。
契約不適合責任を問われた際、具体的にどのようなリスクを負うかについては、「買い主が持つ権利」として次のコラムで詳しく解説しています。ぜひあわせてご参照ください。
告知義務のある瑕疵物件を売却する際の注意点
告知義務のある瑕疵物件を売却する際の注意点として、次の4つが挙げられます。
- 事前にしっかり調査し瑕疵の内容を把握しておく
- 不動産会社に瑕疵の情報を共有しておく
- 瑕疵の程度を自己判断で決めない
- 売却までに時間がかかる恐れがある
特に築年数が経った家は、経年劣化なども含めて、物理的瑕疵が発生している可能性が高いでしょう。
事前にインスペクション(既存住宅状況調査)を受けて、専門家に住宅の状況をチェックしてもらうことをおすすめします。
また、事件があった場合は、事実関係を明確にしておき、買い主に正確な情報を提供できるように準備しておくと、悪戯に不安感を与えずに済みます。
環境的瑕疵や心理的瑕疵は、売り主視点では「これは瑕疵ではないだろう」と思うものもあるかもしれません。
しかし、人それぞれ感じ方が異なりますから、自己判断で告知するかどうかを決めるのではなく、不動産会社に相談しましょう。
「気になることはすべて相談する」というスタンスが、リスク回避には大切です。
最後に、瑕疵がある物件は売却までに時間がかかったり、売れなかったりする可能性が高い傾向があります。
建物に瑕疵があるならリフォームしたり、更地にしたりして売却する、不動産会社に直接取引「買取」してもらうのも良い方法ですよ。
下記のコラムでは、雨漏りに焦点を当て、スムーズに売る方法をご紹介しています。
ぜひあわせてご参照ください。
雨漏りした家を売却するために!告知義務や高く売る方法を詳しく解説
不動産売却では物件の瑕疵について告知義務がある
不動産売却において、売り主には物件の瑕疵を買い主に伝える「告知義務」があります。
瑕疵とは、住み心地の良さを阻害する不具合や欠陥、問題のことです。
瑕疵の種類は「物理的瑕疵」「法律的瑕疵」「環境的瑕疵」「心理的瑕疵」の4つに分けられます。
「物理的瑕疵」や「法律的瑕疵」は、ひび割れがある、法律的な制限があるといった客観的に瑕疵であるとの判断がしやすいです。
対して、周辺に嫌悪施設があるといった「環境的瑕疵」や、事故物件であるなどの「心理的瑕疵」は人それぞれ受け取り方が異なります。
「瑕疵を知っていたら買わなかった」と契約不適合責任を問われれば、契約解除や損害賠償を求められる恐れもあります。
どう告知するかは自己判断で決めるのではなく、事前に調査をしっかりした上で、不動産会社と相談して進めましょう。
栃木県で不動産の売却を検討している方は、栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」に、ぜひご相談ください。