不動産売却は途中でキャンセル可能?違約金や契約解除の流れもご紹介
こんにちは!栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」の小川です。
「不動産売却は途中でキャンセルできるのだろうか?」
不動産売却を検討される方の中には、そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、不動産売却は途中でキャンセル可能かどうか、タイミング別に解説します。
違約金の有無や契約解除の流れ、注意点もあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
不動産売却は途中でキャンセル可能?タイミング別にご紹介
まずは、不動産売却の流れを見ていきましょう。
一般的な売却方法である「仲介(不動産会社に買い手を探してもらう方法)」での売却は、次のとおり進みます。
- 不動産会社に査定を依頼する
- 不動産会社と媒介(仲介)契約を結ぶ
- 販売活動(広告や内覧など)を行う
- 買い主と売買契約を結ぶ
- 売買代金の決済、物件の引渡しを行う
買い主と売買契約を結ぶ以前に売却そのものをキャンセルすることは可能ですし、売買契約後であっても、物件が引き渡される前なら契約を解除することができます。
ただし、売却が進めば進むほど、キャンセルの条件が厳しくなる点に注意が必要です。
タイミングによっては、ペナルティ(違約金)など金銭的負担が発生する場合もあります。
ここでは、不動産売却の一般的な流れにおけるキャンセルのタイミングと、タイミング別の金銭的負担についてご紹介します。
不動産査定後はノーリスクでキャンセルできる
査定の流れとしては、まずは一括査定サイトなどで、簡単な物件情報を入力して行える「簡易査定(机上査定)」を行います。
その後、複数社の中から売却を任せたいと思う不動産会社を絞り込み、より詳しい「訪問査定」を依頼するのが一般的です。
売却を進めるかどうかは売り主の自由ですから、キャンセル料を支払う必要はありません。
無料査定サービスを利用するなら、売り主の金銭的負担は一切ないのでご安心ください。
媒介契約の解除には実費の請求がされる場合がある
不動産会社と媒介契約を結び、契約期間内に解除を行なった場合は、契約内容の実行にかかった費用を請求される場合があります。
また、契約の種類によっては、違約金が発生する場合もあるので注意が必要です。
媒介契約は、不動産会社1社に専任するか、複数の会社と契約するかを選べます。
専任の契約には「専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」の2つがあり、媒介契約書に「違約金等」の項目が含まれているのが一般的です。
一方、複数社と契約できる「一般媒介契約」の場合は、売主が媒介契約を解約しても違約金も発生しません。
ただし、広告費や宣伝費が発生している場合は、実費支払を求められる可能性があります。
売買契約の前後で金銭的負担は大きく異なる
買い主と売買契約を結ぶ前であれば、原則的に「契約解除」には当たりません。
購入申し込みの証明となる「買付証明書」を受け取っていたり、「売渡承諾書」を買い主に渡していたりしても、キャンセルに伴うペナルティはないのが一般的。
これは、上記の書類に、法的な効力はないからです。
しかし、売買契約を結んだあとに解約する場合は、「手付の倍返し」を行う必要があります(買い主が解除する場合は手付の放棄のみ)。
手付金とは、簡単に契約解除できないようにするために買い主が事前に支払うお金で、売却代金の5〜10%が一般的です。
買い主から100万円の手付金を受け取っていた場合は、倍額の200万円を買い主に償還すれば解除できるということですね。
なお、買い主が売買代金(中間金など)を支払うなど履行の着手がなされていたり、契約書に「手付解除期日」の定めがあってその期日を過ぎたりすると、さらに注意が必要です。
手付の倍返しに加えて、違約金や、不動産会社への仲介手数料(契約は成立しているため)の支払いが発生します。
不動産売却のキャンセルで違約金が発生する・しないケースをそれぞれ確認
不動産売却のキャンセルで違約金が発生するケース、しないケースを確認していきましょう。
違約金が発生するケース
違約金が発生するのは、次の3つのケースがあります。
- 専任媒介契約・専属専任媒介契約の契約期間内の解除
- 手付解除期日後の契約解除
- 履行着手後の契約解除
専任の媒介契約(専属専任媒介契約と専任媒介契約)の契約期間内でのキャンセルでは、違約金を支払う必要があります(売買契約書に記載がある場合)。
負担する額は、約定報酬額に相当する金額で、次のとおり上限が定められています。
売却金額 | 売却金額における約定報酬額の割合 |
200万円以下の部分 | 5.5%以内 |
200万円超~400万円以下の部分 | 4.4%以内 |
400万円を超える部分 | 3.3%以内 |
それぞれの部分に分けて計算しても良いですし、売却金額が400万円を超える場合は、次の簡易計算式を利用すると手軽です。
約定報酬金額=(売買代金【消費税抜】×3%+6万円)×1.1
手付解除期日後に契約解除した場合や、買い主の履行の着手後に契約解除する場合は、契約書記載の違約金の金額を支払います。
相場としては、売買価格の10〜20%に設定されることがほとんどです。
違約金が発生しないケース
不動産売却のキャンセルにおいて、次のケースでは違約金が発生しません。
- 不動産会社による契約不履行を理由とする媒介契約の解除
- 住宅ローン特約などの特約がある場合の売買契約の解除
- 災害などで物件が滅失した場合の売買契約の解除
不動産会社が媒介契約書記載の業務を行わず、きちんと業務を行うよう通告しても改善がない、といった場合は、ノーリスクで解除可能です。
そして、住宅ローン特約がある場合に買い主の住宅ローンが下りなかったり、災害などで物件が滅失したりした場合の売買契約は、契約を白紙(なかったこと)にできます。
手付金は買い主に返還され、違約金も発生しません。
不動産売却の契約解除の流れをご紹介
不動産売却の契約解除の流れを、媒介契約の解除と売買契約の解除に分けてご紹介します。
媒介契約の解除
まず、一般媒介契約の場合は、電話で解除の旨を伝えるだけで問題ありません。
専任媒介契約・専属専任媒介契約の場合は「電話で解約はできない」という場合もあり、必ず書面にて解除を伝えましょう。
トラブルを回避するためにも、次の内容を書面にして送ります。
- 題名(専属専任媒介契約解除通知書など)
- 書面の作成日
- 不動産会社名
- 売り主の住所氏名
- 解除を通知する旨の文章や解除理由 など
「内容証明郵便」を使うと、書類送付後にきちんと送付したことが証明できるのでおすすめです。
なお、媒介契約が満了した場合の解約であれば、更新しない旨を伝えるだけで良く、上記の書類は送る必要はありません。
売買契約の解除
売買契約の解除を行いたい場合も、まずは不動産会社に連絡をし、対応を依頼しましょう。
買い主に直接連絡すると、トラブルになる可能性があるからです。
不動産会社から買い主に売り主の意向が伝えられ、買い主が解除に合意すれば、契約後でも売却のキャンセルが可能です。
具体的な解除手続きは、売買契約書や重要事項説明書の規定にそって行われます。
不動産売却を途中でキャンセルする場合の注意点は?
不動産売却を途中でキャンセルする場合の注意点は、次の2つがあります。
- なるべく売買契約前にキャンセルする
- 解約の内容を書面に残しておく
まず、不動産売却を途中でキャンセルするなら、なるべく売買契約を結ぶ前に行うことをおすすめします。
売買契約の締結後に解約するとなると、手付金の倍額償還はもちろん、手付解除期日を過ぎたり、買い主が履行の着手をしたあとは、仲介手数料、違約金の支払いも必要になるからです。
売買契約を結ぶ前は、売買金額など契約内容を改めて確認したり、販売活動の状態を見直したりして、契約を結んでも問題ないか入念にチェックしましょう。
そして、解約したあとは、解約後に買い主や不動産会社(媒介契約の場合)との間でトラブルにならないよう、内容(解約理由や条件など)を書面に残しておくことをおすすめします。
媒介契約や売買契約時の注意点は、「不動産売却の契約の注意点とは?売却の流れもあわせてチェック」にて解説していますので、ぜひあわせて参考にしてください。
不動産売却のキャンセルは売買契約前なら負担が少ない
不動産売却のキャンセルは、買い主に物件を引き渡す前ならば、いつでも行えます。
ただし、タイミングによっては、手続きにかかる時間や金銭的負担が大きく異なるので注意が必要です。
専任媒介契約や専属専任媒介契約を不動産会社と結んだ場合は、解約の際に違約金や実費の清算を求められる可能性があります。
売買契約の締結後にキャンセルするなら、手付金の倍額を買い主に償還する必要があります。
また、手付解除期日が過ぎた場合や買い主が履行の着手をした場合は、違約金や仲介手数料の負担も増えます。
そのため、キャンセルするならなるべく売買契約前に行うことをおすすめします。
そして、解約後に相手とトラブルにならないよう、解約の内容を書面に残しておきましょう。
栃木県で不動産の売却を検討している方は、栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」に、ぜひご相談ください。