不動産を相続せずに売却はできない?売却までに必要な流れをチェック!
こんにちは。栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」の小川です。
使う予定がない不動産の相続が発生した場合、「相続登記なしに売却できないだろうか」「売却するのだから相続手続きは不要では?」と考える方もいらっしゃるかもしれませんね。
結論からいいますと、不動産は相続登記なしには売却はできません。
そこで今回のコラムでは、相続せずに売却できない理由を解説します。
売却するためにはどのような流れで進める必要があるのか、そもそも相続せずに売却したいケースとはどんな場合かもご紹介しますので、ぜひあわせて参考にしてください。
不動産は相続せずに売却できる?
結論からいいますと、相続が発生した不動産を、相続登記なしに売却することはできません。
不動産の所有者が亡くなって相続が発生した場合、配偶者、子ども、親、兄弟姉妹などが相続順位にのっとって法定相続人となり、被相続人の財産を引き継ぎます。
例えば、亡くなった親が住んでいた実家をその子どもが相続するなら、「相続登記」を行い、親から子へと所有者の名義が変わったことを法務局に届け出て、登記簿情報を変更する必要があります。
相続登記を行い、不動産の名義人になってようやく、売却や賃貸など、どのように取り扱うのかの判断を自由に行えるようになるということです。
また、売却に際して、最終的に物件を引き渡す際に、売り主から買い主へ名義変更する「所有権移転登記」を行うためにも、売り主が所有者になっておく必要があります。
相続登記前でも売却相談や依頼は可能
相続した不動産の売却を早めに進めたい場合、「相続登記の手続きと平行して、売却活動を始めたい」という方もいらっしゃるかもしれません。
その場合、相続登記前でも、不動産会社への相談や、買い手探しの販売活動、売買契約の締結など、所有権移転登記を行う引き渡し時に間に合えば、先に売却を進めても構いません。
ただし、相続登記には、必要な書類を揃えたり、遺産分割協議などを行なって誰が相続人となるのか決定したりと、ケースによっては複雑な手続きとなり、時間を要します。
相続手続き全体でいうと、かかる期間の目安は最低2カ月ほど。
それ以上かかる場合ももちろんあるでしょう。
引き渡し期限に間に合わない場合、違約金を求められるなど、トラブルになる可能性もあるため、相続登記を済ませてから売却を始めることをおすすめします。
令和6年4月1日から相続登記申請が義務化された
売却に限った話ではありませんが、令和6年(2024年)4月1日から、相続登記の申請が義務化されたことも知っておきましょう。
相続で不動産を取得した場合、相続が発生した(一般的には被相続人が亡くなった)ことを知ったとき、あるいは遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記申請を行わなければなりません。
正当な理由なしに義務を怠った際は、10万円以下の過料というペナルティの対象となります。
※参考:法務省「相続登記の申請義務化について」
そもそも不動産を相続せずに売却したいケースとは
不動産を相続せずに売却したいケースとは、いったいどのような場合があるのでしょうか。
基本的には、始めから売却が決まっているパターンが多いでしょう。
相続が発生したあとすぐに売ってしまうイメージが強いので、「名義変更する意味はあるのだろうか」と感じやすいのかもしれません。
一般的には、すでにマイホームを所有しているなど、相続した物件を使うあてがない場合が挙げられます。
不動産は所有しているだけで、固定資産税などの税金や、管理維持の費用がかかりますから、「不要な物件は早めに処分したい」ということですね。
また、複数の相続人がいるとき、遺産分割をする過程で、不動産はどうしても公平に分けにくい財産です。
売却で現金化し、換価分割したい場合もあるでしょう。
被相続人から遺言書で遺言執行者に指名されて、売却を進めるケースもあります。
不動産は「相続してから」売却!流れを確認
不動産を売却するには、相続登記を行い、所有者となる必要があるとお伝えしてきました。
最後に、被相続人が亡くなって相続が発生し、相続登記、売却完了するまでの流れを確認していきましょう。
買い手探しを不動産会社に依頼する「仲介」での流れは、次の通りです。
<相続手続き>
- 遺言書の有無を確認する
- 戸籍関係を調べ、相続人の確定を行う
- 相続財産の確認を行う
- 遺産分割協議を行う(遺言書がない場合)
- 「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員が署名、実印で押印する
- 登記申請書や必要書類を揃えて法務局に「相続登記」を申請する
- 相続税の申告・納付を行う
遺産分割に先立ち、相続人の確定、相続財産の確認を行い、遺言書があればその内容通りに遺産分割を進めます。
遺言書がなければ、話し合いで決めるため、「誰がどの財産を引き継ぐのか」遺産分割協議を行います。
遺産分割協議書とは、誰がどの財産を引き継ぐかが決まれば、話し合いで決定された分割する財産の内容や分割方法、割合などを具体的に記した書類です。
相続人全員が記載内容に合意している旨を示すため、全員の住所氏名を記載した上、実印で押印します。
相続登記には、遺産分割協議書のほか、主に下記の書類が必要です。
- 登記申請書(法務局ホームページからダウンロード可能)
- 印鑑証明書(相続人全員分)
- 不動産の固定資産評価証明書
- 被相続人の戸籍謄本や除籍謄本(出生から死亡までの経過がわかるもの)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 不動産の相続人の住民票の写し(マイナンバーが記載されていないもの)
- 相続関係説明図
不動産を管轄する法務局への申請は、窓口への持参や郵送、オンラインでも可能です。
なお、注意点として、相続開始後から10カ月以内に相続税の申告・納付が必要な点も知っておいてくださいね。
相続の流れや期限、遺産分割の種類や相続財産に関わる税金については、下記コラムもあわせてご覧ください。
不動産や土地相続の期限はいつまで?それぞれの期限や放置した場合の話
亡くなった親の家を売る流れや注意点を解説!かかる税金も知ろう
相続登記が完了したあとの流れは、一般的な仲介の流れと同様です。
<売却手続き>
- 不動産会社に査定を依頼する
- 不動産会社と媒介(仲介)契約を締結する
- 広告や内覧など販売活動を行う
- 買い主と売買契約を結ぶ
- 売却代金の決済、物件の引き渡しを行い、「所有権移転登記」の手続きをする
仲介での売却の流れは、「不動産仲介とはどんな仕組み?流れや仲介手数料の目安などを解説!」で順を追って解説しています。
ぜひあわせてご参考ください。
相続せずに売却はできない!相続登記後の売り出しがおすすめ
不動産を相続した場合、相続登記をせずに売却することはできません。
売り主から買い主へと名義を変更する「所有権移転登記」を行うには、売り主が物件の所有者として登記簿に登録されている必要があるからです。
また、令和6年4月1日より、相続登記は義務化されました。
義務を怠ると10万円以下の過料の適用対象になりますので、ご注意ください。
不動産会社への売り出しの相談や査定、販売活動、売買契約の締結までは相続登記が完了していなくても行えるものの、引き渡しに間に合わなくなってしまうと、違約金の支払いを求められるなどの問題が起こる可能性があります。
なるべく相続登記を終えてから、売却を始めることをおすすめします。
栃木県で不動産の売却を検討している方は、栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」に、ぜひご相談ください。