不動産売却の基礎知識

相続財産管理人が不動産売却をする流れは?生前対策や注意点も確認!

こんにちは!栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」の小川です。

 

被相続人(亡くなった人)に法律で決められた相続人がいない場合、代わりに遺産を管理・清算する人を「相続財産管理人」といいます。

 

相続人がいない遺産は、相続財産管理人にとって他人の財産であり、売却の手順が通常の方法と異なるため注意が必要です。

 

そこで今回は、相続財産管理人が不動産売却をする流れ・注意点を解説。

 

そもそも相続財産管理人の役割とは何か、相続財産管理人に頼らなくて済む生前対策についてもあわせてご紹介します。

 

 

最初に相続財産管理人の役割からチェック

まず、相続財産管理人が必要になるのはどんな時か、役割について確認しておきましょう。

 

相続財産管理人は、被相続人(亡くなった人)の財産を受け継ぐ人がいない場合に、代わりに財産の管理・清算を行います。

 

たとえば、相続人全員が相続を放棄したり、そもそも遺産を受け継ぐ親族がいなかったりする場合ですね。

 

具体的には、相続財産の調査や目録の作成、不動産の名義変更・売却が可能です。

 

相続人なしでは預貯金・土地家屋などの財産を処分できないため、亡くなった人が借金をしていても返済できない、空き家になるなどの問題が起こるでしょう。

 

債権者や保証人にも迷惑をかけることになったり、空き家を放置すれば周辺環境が悪化してしまったりすることも考えられます。

 

空き家の管理責任について詳しくは「空き家を相続放棄した場合の注意点を解説!管理責任はどうなる?」にて解説していますので、あわせてご覧くださいね。

 

また、内縁の配偶者など特別縁故者は、相続人がいないとわかってから3カ月以内に財産分与を申立てないと、遺産を受け取れなくなります。

 

その場合にも、相続財産管理人が分与の手続きを行う役割があります。

 

 

相続財産管理人が不動産売却をする流れとは

相続人がおらず、被相続人の財産を管理・処分する必要がある場合は、まず家庭裁判所に相続財産管理人の選任の申立てを行う必要があります。

 

ここでは、相続財産管理人の選任申立てから、不動産を売却するまでの流れを解説しますね。

 

一連の流れは、次の6つのステップに分かれます。

  1. 相続財産管理人の選任を申立てを行う
  2. 申立て受理後に相続財産管理人が選任される
  3. 不動産売却の許可を家庭裁判所に求める
  4. 相続不動産の名義変更を行う
  5. 不動産の売却手続きを進める
  6. 売却後に買主への所有権移転登記を行う

 

1つずつ確認していきましょう。

 

①相続財産管理人の選任を申立てを行う

まず、家庭裁判所に相続財産管理人の申立てを行います。

申立てをできるのは、被相続人にお金を貸していた人や生前特別な関係にあった人、検察官です。

 

特別な関係とは、内縁の配偶者・身の回りの世話人、法定相続人ではない親族が該当します。

 

申立てに必要な書類は次の通りです。

  • 相続財産管理人選任申立書
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 遺産の内容を証明するもの
  • 戸籍謄本

 

戸籍謄本は、被相続人および財産を受け継ぐ対象がいない証明として、主に次のものが必要となります。

  • 被相続人の出生時から死亡時までがわかるもの
  • 被相続人の両親の出生時から死亡時までがわかるもの
  • 被相続人に死亡している子ども・兄弟姉妹がいる場合、その出生時から死亡時までがわかるもの

 

また、相続財産管理人を申立人が推薦する場合は、候補者の住民票または戸籍附票が必要です。

 

②申立て受理後に相続財産管理人が選任される

申立てが受理されると、選任の審理を経て相続財産管理人が選ばれます。

 

③不動産売却の許可を家庭裁判所に求める

相続財産管理人によって不動産を売却するには、家庭裁判所の許可が必要です。

 

許可を求める際は、売却の予定価格と売却予定先をしっかりと示し、不動産の評価額を公正に定めなければいけません。

 

公平性に関して厳しい判断基準となるため、不動産鑑定士に鑑定をしてもらうのが一般的です。

 

④相続不動産の名義変更を行う

家庭裁判所への許可申請とともに売却に向けて必要なのが、被相続人の財産の名義変更です。

 

相続人がいない場合、遺された財産は「相続財産法人」となるため、被相続人から名義を変更する登記を行います。

 

⑤不動産の売却手続きを進める

相続財産法人へ名義変更登記を行ったら、不動産の売却が可能となります。

ただし、相続財産管理人に可能な売却方法は「競売」「任意売却」の2つに限られます。

 

競売は、被相続人へお金を貸した人(債権者)に借金を返済する必要がある時によく用いられる方法です。

競売と比較すると、任意売却は市場価格に近い価格で売却できる場合が多く、短期間でより高く売れる方法です。

 

⑥売却後に買主への所有権移転登記を行う

競売か任意売却にて売れた後は、買主への所有権移転登記(建物の所有権を買主に移す登記)が必要です。

 

 

相続財産管理人が不動産売却をする際の注意点も確認

相続財産管理人に不動産売却を任せ、財産の清算を行いたい場合は、申し立てを行う際の費用がかかることに注意が必要です。

 

必要な費用としては、主に次のようなものがあります。

  • 収入印紙:800円
  • 郵便切手代:1,000~2,000円程度(裁判所によって異なる)
  • 官報広告費用:4,000円程度
  • 戸籍謄本取得にかかる手数料:1,000~5,000円(取得書類の数によって異なる)

 

また上記の費用とあわせて、「予納金」を支払う必要がある場合もあります。

 

予納金とは、おおまかにいえば相続財産管理人への報酬のこと。

通常、被相続人の財産から支払うものですが、中には足りなくなるケースもあるため、前もって申立人に支払ってもらっておくお金です。

財産を売却して報酬が賄える場合は、余った予納金は返還されます。

 

予納金の額は事案ごとに異なるので一概にいくらとは断定できませんが、100万円以下となる場合がほとんどです。

 

 

相続財産管理人の不動産売却は大変!そうならないための生前対策

先にお伝えしたとおり、相続財産管理人が不動産売却を行うには、選任の申立てや売却の許可を家庭裁判所にお願いしなければいけません。

 

必要書類の準備や手続きにも手間がかかるため、なかなかの負担といえます。

負担を避けるには、生前対策を行うことが重要です。

 

ここでは簡単に、相続財産管理人に頼らなくて済む方法を2つ紹介します。

まず一つ目は、生前に遺言書を作成し、「〇〇にすべての財産を相続する」「財産の1/4を〇〇に相続する」など、遺産を受け継ぐ相手・相続の割合をきちんと定める方法です。

 

偽造や紛失の心配をなくすために、公正証書を作成することをおすすめします。

 

もう1つは、養子縁組制度を利用することです。

養子には遺産相続をする権利があり、法定相続人となります。

 

制度を悪用されないためにも、昔からよく知る人や信頼できる人を選ぶことが大切です。

 

 

相続財産管理人の不動産売却は手間がかかる!生前対策も検討を

相続財産管理人とは、相続人全員が相続放棄をした場合など、被相続人の財産を受け継ぐ人がいない時に代わりに財産の管理・清算を行う人のこと。

 

他人が勝手に財産を処分できないため、相続財産管理人を選任し、財産分与や売却の手続きを進めてもらう必要があるのです。

 

相続財産管理人の不動産売却に際して大切なことは、家庭裁判所に売却の許可をもらうこと、そして相続不動産の名義を「相続財産法人」に変更登記すること。

 

不動産売却は、競売・任意売却のどちらかの方法で行い、売却後に買主への所有権移転登記を済ませたら完了です。

 

注意点として、選任の申し立てを行う際には費用の支出があります。

場合によっては予納金の支払いが必要なケースもあるので、覚えておいてくださいね。

 

相続財産管理人が不動産売却をするのは大変なので、できれば避けたいという場合は、生前に遺言書を作成するか、養子縁組制度を利用して法定相続人を用意しておくと良いでしょう。

 

不動産売却について不安があれば、お近くの不動産会社に相談するのもおすすめです。

栃木県で不動産の売却を検討している方は、栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」に、ぜひご相談ください。

 

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